研究課題/領域番号 |
26570022
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
清水 賢一郎 北海道大学, 大学院メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (90262097)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ツーリズム / 中国 / 中華民国 / メディア / 団体旅行 / 旅行社 |
研究実績の概要 |
1.『良友画報』及び『申報』を対象に中華民国期の団体旅行に関する資料収集を行った。その際、当初計画では『良友画報』『申報索引』を購入して研究を進める予定であったが、利便性を考慮して方針変更し、国内他大学所蔵の資料を利活用する方式に切り換えた。特に『申報』に関しては電子版(データベース)を利用することによって非常に効率的に検索閲覧が可能となり、同紙所載の観光関連記事の目録を作成しながら内容分析を進めている。『良友画報』についても「良友全国撮影旅行団」をはじめとする団体旅行や観光関連記事の目録を作成し内容分析を行った。 2.上海図書館及び上海市档案館にて中華民国期の旅行社・旅行団体に関する資料を閲覧収集した。特に「友声旅行団」関係の文献を集中的に収集し、機関誌『友声』は上海図書館館蔵分について記事目録を作成した(1923年1期~37年21巻4期;但し欠号多数)。これにより日本では閲覧機会の得られなかった友声旅行団に関する諸資料を入手でき、研究が大きく進展した。また、「中国旅行社」や「新安旅行団」「萍蹤旅行団」「経済旅行社」等に関する資料も併せて収集し、分析を進行中である。 3.2014年12月富山大学人文学部で開催された公開シンポジウム「中華圏におけるモダニズムⅡ──近代中国の都市とリゾート」において「モダン中国・マスツーリズムの出現」と題する研究報告を行った。報告では、中国において1900年代から新式学堂の設立とともに修学の旅が始まり、1920年代に入るやミッション系の宗教団体等を中心に民間組織による団体旅行が登場、さらに30年代以降に新聞雑誌メディアに媒介されたマスツーリズムが盛行していった歴史的展開について近代中国文化史研究の専門家と議論し、ピアレヴューを受けることで今後の研究の方向性と留意点を、より明確につかむことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標として当初計画では大きく4つ挙げた。(1)『良友画報』の調査、(2)『申報』の調査、(3)上海での「友声旅行団」「中国旅行社」を中心とする旅行社・旅行団体の調査、(4)中間的研究発表の実施である。以上のうち(1)~(3)の文献調査はほぼ予定どおりの進捗状況である。 細かく言えば、当初購入を予定していた文献について購入ではなく出張による閲覧調査に方針転換するなどの変更を行ったが、結果的にはむしろ当初計画よりも効率的に調査が進んでいる。但し、上海での資料調査は、当初夏季休暇だけでなく、春期休暇中にも計画していたところ、本務多忙により華東師範大学図書館での調査は実施できなかった。 (4)の中間的研究報告も、発表の場は当初計画から変更することになったが、基本的に予定どおり実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度(平成27年度;2015年度)は本研究課題の最終年度ともなるので、これまでおおむね順調に進展してきた調査研究の継続補強を進めながら、研究成果の取りまとめ、発表を行う。 具体的には、初年度に実施できなかった華東師範大学図書館(上海)での調査を実施するとともに、関連資料収集のため北京(国家図書館等)や台北(中央研究院近代史研究所等)での文献調査も実施したい。 なお、中華民国期の旅行ガイドブック集成『民國旅遊指南彙刊』が北海道大学附属図書館に架蔵されたため、今後その分析も加えられればと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
会計手続(支払処理期日)に関する単純な認識不足により3月上旬に購入した物品の経費の支払が翌月すなわち次年度4月に回ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の次年度使用額は実際上はすでに購入手続が全て(納品まで)完了しており、4月中に支払まで完了予定。 それ以外、次年度(平成27年度;2015年度)の使用計画は基本的に当初計画どおり、主として文献調査(国内/海外旅費)に充当する予定である。
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