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2015 年度 実績報告書

手話言語における哲学表現の可能性について

研究課題

研究課題/領域番号 26580002
研究機関東京大学

研究代表者

高山 守  東京大学, 人文社会系研究科, 名誉教授 (20121460)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード手話
研究実績の概要

本研究の目的は、手話という特有の形態の言語に関して、その哲学表現の可能性を探究し、それによって、手話言語そのもののもつ独特の意味論的な体系性をとらえるとともに、哲学そのものの新たな表現形態の可能性を探るというものである。この目的を達成するために、昨年度に引き続き、本年度も、「哲学手話の会」という会を三回にわたって開催し、ろう者、難聴者、聴者が一堂に会し、哲学的なテーマをめぐって自由な論議を展開した。その際に、今年度は、自由討議の基礎資料として、それぞれの回で、次の書物の一部を使用した。カント『道徳形而上学への基礎づけ』、エピクテトス『要録』、アラン『幸福論』がそれである。テーマは、それぞれ、「善意志」、「財産や名声等の意味」、「理想的な人間関係」と設定された。これらの会においては、しばしば、人間と単なる動物との相違、人間と自然との関係性が論議の主題となった。また、これとは別に、江戸川ろう者協会の主要メンバーで、純粋な日本手話ネイティヴの方々六名に集まってもらい、「<命>をめぐる手話表現検討会」と題する会を開催した。この会においては、いわゆる無の境地といったものへと通じうる論議もまた、手話言語特有の身体表現のもとで展開された。このようないくつかの会の開催を通してとらええた、哲学的な観点からの手話表現における重要な特性は、主として、次の三点である。1)手話表現の重層性。二つの言語表現が重ねられ、同時に行なわれるということで、「戸を押す」(原因)と「戸が開く」(結果)が同時に一体で表現される。2)表現の身体性。「無の境地」といったものが身体表現によって表出され、心と身体との一体性が顕著である。3)ロー・コンテクスト性。言語行為という観点からの顕著な特性で、「寒い」と言っても、「窓を閉めて」とか「セーターが欲しい」とかといった行為要請的意味を、手話言語はもたない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] ヘーゲル哲学における無と自由2015

    • 著者名/発表者名
      高山守
    • 学会等名
      日本ヘーゲル学会
    • 発表場所
      高野山大学(和歌山県伊都郡高野町)
    • 年月日
      2015-06-06
    • 招待講演
  • [学会発表] Der Verlust der ersten und zweiten Person im Japanischen vor dem Hintergrund von Nishidas Ueberlegungen zur <reinen Erfahrung>2015

    • 著者名/発表者名
      高山守
    • 学会等名
      Gustav Stresemann Institut (主催者)
    • 発表場所
      Gustav Stresemann Institut (ドイツ ボン・バートゴーデスベルク)
    • 年月日
      2015-05-15
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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