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2014 年度 実施状況報告書

障害児支援における「現場の理念」の探索・構築-現場と倫理学の循環的交流

研究課題

研究課題/領域番号 26580006
研究機関沖縄国際大学

研究代表者

小柳 正弘  沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (20186828)

研究分担者 小松 美彦  武蔵野大学, 薬学部, 教授 (90266239)
土井 健司  関西学院大学, 神学部, 教授 (70242998)
山田 富秋  松山大学, 人文学部, 教授 (30166722)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード現場の理念 / 障害児 / 支援 / 自己決定 / 人間の尊厳 / 隣人愛 / 私-たち / 福祉と倫理
研究実績の概要

[実践的検討]研究代表者を中心に-療育や特別支援教育における(障害学の見地や障害者法制の動向にも係わる)理念と(教材教具の開発や療育の方法論も含めた具体的なケアの)現実との連関を具体的に検討する-支援の現場との循環的交流と並行して、現場の援助者を対象に「支援」に関するワークシート調査が進行中である。このワークシートは、現場の援助者と倫理学の研究者が共同で現場の理念を探索するためのステップとして、支援についてのplausibleな考え方・感じ方を探るものである(具体的には、現場の援助者が、障害児に対する支援において「私」や「私たち」としてどのようなことを「行いたい」「行いうる」「行うべき」と考え感じているかを現在と将来に関して主観的/客観的にふりかえって記述する)。回収中の回答やワークシート作成の過程における問合せからも、支援するもの・支援されるもの・両者の関係のありようを巡って多様な考え方・感じ方があることが浮かび上がっている。[理論的検討]研究代表者・研究分担者による研究打合せでは、自己決定、人間の尊厳、隣人愛といった伝統的な理念の系譜と展開について意見交換を行い、いずれの概念も関係論的な見地からも理解可能であることが確認され、そうした理解も踏まえて理論的検討が進行中である。また、支援を理解・構築するための方法としてのライフストーリーの有効性についても意見交換を行い、ライフストーリー論の多様な展開を踏まえ、現場の理解への援用の方策について検討中である。さらに、専門職倫理・専門職教育の先進地である技術者倫理・技術者教育の領域において、現場の問題がどのように捉えられているかについて専門家(熊本高等専門学校小林幸人教授)の教示をうけた(倫理問題の構造的要因の重視、倫理とwell-beingの架橋をめざすaspirational ethicsへの着目といった動向等について)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ワークシート調査の回収が遅れている。この調査は統計的な処理をして一般的な傾向の抽出をめざすような性格のものではなく、現場の援助者と倫理学の研究者が共同で現場の理念の探索・構築を行うにあたってステップとなるようなたたき台をつくるためのものである。本研究は、支援についての考え方や感じ方にはいろいろなかたちがあるだろうという見通しを方法論的な前提としている。回収中のワークシートの回答やワークシート作成過程での問合せはそうした見通しをある程度裏打ちしているが十分とは言えない。
回収の遅れは、依頼時期が年度末に重なったことにくわえ、ワークシートが、日常的には渾然一体となっていると思われる支援についての考え方や感じ方を都合24通りに仕分けて記述することを求めるもので、回答者の負担が重いことも、その要因となっていると思われる。

今後の研究の推進方策

ワークシート調査で問題としていることは、伝統的支援原理に関する理論的な検討の枠組みとも重なるものであり、現場の援助者の意識や信念をそうした枠組みと照らし合わせて抽出・分析することは、本研究にとって必要不可欠なことである。そこで、聞き取りなど回答者の負担軽減策も併用してワークシート調査を続行するとともに、現場の援助者と倫理学の研究者との共同討議の一部に、当該ワークシート相当の探索をおりこむ方途も検討する。

次年度使用額が生じた理由

ワークシート調査など、現場の調査に係わる研究打合せを次年度に行うことになった。
また理論的検討の整理・協議に係わる物品の購入を計画的に行う必要が見込まれた。

次年度使用額の使用計画

ワークシート調査の結果を踏まえ、現場の調査に係わる研究打合せを行う。
また予算がゆるせば、理論的検討の整理・協議に係わる物品を購入する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 「キュプリアヌスの疫病」考―古代キリスト教におけるフィランスロピア論のための予備的考察2015

    • 著者名/発表者名
      土井健司
    • 雑誌名

      神学研究

      巻: 62 ページ: 25-39

  • [雑誌論文] 尊厳死の問題点を考える2015

    • 著者名/発表者名
      小松美彦
    • 雑誌名

      週刊読書人

      巻: 3074 ページ: 1-2

  • [雑誌論文] 問題がどのように生じるか、その問題にどう対処するか(立岩真也著『自閉症連続体の時代』書評)2014

    • 著者名/発表者名
      小柳正弘
    • 雑誌名

      週刊読書人

      巻: 3061 ページ: 4-4

  • [雑誌論文] HIV感染した血友病者のQOLとスティグマ2014

    • 著者名/発表者名
      山田富秋
    • 雑誌名

      日本エイズ学会誌

      巻: 16-3 ページ: 161-167

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 生命科学を疑え―生命倫理の立場から2014

    • 著者名/発表者名
      小松美彦
    • 雑誌名

      kotoba

      巻: 16 ページ: 122-125,137

  • [学会発表] 生権力と「人間の尊厳」を考える─生命倫理の基底の奥へ2015

    • 著者名/発表者名
      小松美彦
    • 学会等名
      南山宗教文化研究所「科学と宗教の対話研究会」
    • 発表場所
      南山大学(名古屋市)
    • 年月日
      2015-03-25
    • 招待講演
  • [学会発表] 安楽死・尊厳死と「3 学会からの提言」─生命倫理学の視座から2015

    • 著者名/発表者名
      小松美彦
    • 学会等名
      第42回日本集中治療医学会学術集会シンポジウム1「終末期医療をどのように国民の皆様にご理解いただくか-「安楽死」との間
    • 発表場所
      ホテル日航東京(東京都)
    • 年月日
      2015-02-09
    • 招待講演
  • [学会発表] 尊厳死の問題点を考える2014

    • 著者名/発表者名
      小松美彦
    • 学会等名
      第二東京弁護士会人権擁護委員会
    • 発表場所
      弁護士会館(東京都)
    • 年月日
      2014-11-28
    • 招待講演
  • [学会発表] メタバイオエシックスの視座から2014

    • 著者名/発表者名
      小松美彦
    • 学会等名
      日本生命倫理学会第26回年次大会大会企画シンポジウム「生命倫理と医療倫理」
    • 発表場所
      アクトシティ浜松コングレスセンター(浜松市)
    • 年月日
      2014-10-25
    • 招待講演
  • [図書] 国策と犠牲 -原爆、原発 そして現代医療のゆくえ2014

    • 著者名/発表者名
      山口 研一郎(編著), 高 史明 (著), 松井 英介 (著), 中嶌 哲演 (著), 水戸 喜世子 (著), 小松 美彦 (著), 天笠 啓祐 (著), 川見 公子 (著), 亀口 公一 (著), 沖 克太郎 (著), 藤 信子 (著), 西村 豊行 (著), 神戸修 (著)
    • 総ページ数
      370
    • 出版者
      社会評論社
  • [図書] よくわかるクリスマス2014

    • 著者名/発表者名
      嶺重淑(編著)、波部雄一郎(編著)、中谷功治(著)、土井健司(著)、A.ルスターホルツ(著)、平林孝裕(著)、大宮有博(著)、桐藤 薫(著)、岩野祐介(著)、柴崎 聰(著)、佐藤成美(著)、小栗 献(著)、打樋啓史(著)、その他、コラム執筆13名
    • 総ページ数
      226
    • 出版者
      教文館

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公開日: 2016-05-27  

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