本研究は、社会福祉における障害児支援を素材に、支援のよりどころとなる妥当で有効な「現場の理念」のありかたを理論的・実践的に検討しようとしたものである。そして、実践的には、現場の援助者に対する質的調査の結果として、現場で重視されているのは、支援の様態や人間の本質などに関する一般的な見方ではなく、支援に係わる私たちのありようについての自身の考え方・感じ方であることが確認された。また、理論的には、伝統的支援原理は、私たちのあるべき姿を問い直す理念として、その系譜や展開が、現場の援助者の支援にかかわる考え方・感じ方のplausibleなヴァリエーションを捉える枠組みとなりうることが示唆された。
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