沖縄諸島において死人を葬った原初的な形態は、風葬である。風葬とは、天然の洞窟や森の霊域の中に、亡骸を野晒しする。戦前まで葬式を行う家は、「龕(ガン)」で死人を墓まで運んでいた。人々は行列で悲しみを表すとともに、死を運んでくる悪霊の侵入を恐れて厄払いをした。 日本だけでなく、世界中で土葬から火葬への移行が進んでいる。日本の火葬率は九八パーセントを超えるほどになっている。しかし、与那国島と与論島には龕の葬送文化が今も残っている。二〇〇四年に与論島でも火葬場が開設され、土葬主流から火葬主流へと変わる節目を迎えており、洗骨も廃れつつある。いま、死の多様性に関して、新しい時代に入ったといえるであろう。
|