研究課題/領域番号 |
26580014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川名 雄一郎 京都大学, 白眉センター(経済学研究科), 助教 (20595920)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 性格の科学 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
今年度は、本研究開始前から進めていた研究の成果にも依拠しながら、以下の2つのトピックについて研究を進めた。 第1は、骨相学の理論的側面およびそれに関する歴史的コンテクストについての研究である。19世紀イギリスにおける骨相学の流布について決定的な影響を持っていたのは、骨相学の創始者として理論的枠組を提示したF・J・ガルというよりも、その弟子のJ・C・シュプルツハイムおよびG・コームであった。本年度の研究では、これらの三人の関係および理論上の異同を中心に検討を進めるとともに、骨相学を取り巻いていた19世紀イギリスの歴史的コンテクストに関する資料の収集・分析を進めた。これらの作業によって、骨相学の理論的特質を明らかにするとともに、19世紀イギリス社会においてこの科学の広範な流布をもたらした社会的条件を明らかにするための研究をおこなった。研究の成果として論文を執筆中である。 第2に、骨相学に関する研究と平行して、対抗理論であるオウエン主義の環境決定論的性格形成論に関する研究もおこなった。具体的には、オウエン主義者の雑誌における骨相学の頻繁な言及に着目し、骨相学との理論的な影響・対立関係という視角から、オウエン主義の性格形成論についての分析を進めた。これらの作業によって、骨相学とオウエン主義がともに属していた、性格形成をめぐる19世紀イギリスの知的コンテクストを明らかにするたけの研究を進めた。こちらのトピックについては、来年度も引き続き資料の収集・分析を進めていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の記した2つのトピックのうち、第1のものについては論文の執筆までおこなう予定であったが、資料の分析に予定以上の時間を要し、論文の執筆・投稿については来年度にも引き続き作業をおこなうことになった。 一方で、第2のものについては、当初計画では次年度におこなう予定のものであったが、資料の収集が順調に進んだこともあって、計画を前倒ししておこなうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、まずは今年度の研究成果の論文としてのとりまとめをおこなう予定である。それと平行して、当初の研究計画通りに資料の収集・分析を進めていく予定である。 基本的に当初の計画通りに研究は進展しており、計画の変更などは必要ないと考えているが、次年度はロンドンでの研究者との研究情報交換を予定しており、その結果次第で計画を柔軟に修正していくつもりである。
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