研究課題/領域番号 |
26580014
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川名 雄一郎 京都大学, 経済学研究科, ジュニアリサーチャー (20595920)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 性格の科学 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
今年度は、前年度までの成果にも依拠しながら、骨相学の対抗理論としてのエソロジーの検討を集中的におこなった。エソロジーはJ・S・ミルによって世紀中葉に提示され、その弟子ともいうべくアレキサンダー・ベインによって引き継がれた(そして、未完に終わった)構想である。この構想は、観念連合心理学(とりわけ、ミルの父であるジェイムズ・ミルの理論)を基礎にしながら、心理学の普遍法則が個々の環境下で作用した結果として人間の性格の形成を理解するものであった。今年度の研究では、ミルとベインのエソロジー構想の異同について、それぞれの議論の名宛人の違いに着目しながら、詳細に検討をおこなった。この成果については、現在論文を執筆しているとともに、次年度に公刊予定の英語での著作の一部に取り込まれている。 また、「性格の科学」という知的現象を生み出した19世紀イギリスの知的コンテクストを明らかにするための研究をすすめた。このトピックについては、次年度も引き続き資料の収集・分析を進めていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度内に論文などを公刊することはできなかったが、公刊に向けての作業はおおむね想定通りに進めている。また、研究課題の一部については前年度に前倒しで検討を進めていたこともあって、全体として研究課題は順調に進展できていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる次年度は、基本的には論文・著作などの研究成果のとりまとめに傾注する予定である。基本的な研究の方向性や計画などについては大きな変更は必要ないと考えているが、年度前半に国内外の研究者との情報交換を予定しており、その結果次第では計画を柔軟に修正していくつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に国内学会への参加を予定していたが、別の助成金での参加となったために本補助金に余剰が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度前半に資料収集および研究会への参加のための国内旅行を予定しており、今年度の余剰分についてはその費用に組み込んで使用する予定である。
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