本研究を通して以下の3点が明らかになった。①ドイツ語圏の宗教ケアはゼールゾルゲ(Seelsorge)という呼称で受け継がれてきており、医療現場ではスピリチュアルケアを担う専門職はゼールゾルガー(Seelsorger:魂をケアする人)であるという認識が定着している。②宗教性やスピリチャリティが病気の予防や回復を促す要因となるという実証的研究の増加などによって、病院が教会に人件費を支払う形でゼールゾルゲを雇用するケースが増加している。②現代日本の「死の臨床」において、ゼールゾルゲのようなスピリチュアルケアシステムを構築することは極めて困難であるが、幾つかの大学で「臨床宗教師研修」が開始されている。
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