研究課題/領域番号 |
26580019
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
大地 宏子 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 講師 (80413160)
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研究分担者 |
岡田 暁生 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70243136)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 幼児の時間 / 子供の時間 / うたのおばさん / 童謡 / 放送番組確定表 |
研究実績の概要 |
①NHK放送博物館所蔵の資料に基づき、戦前から戦後にかけて放送された子ども番組(『子供の時間』『幼児の時間』『うたのおばさん』)についての調査を行い、それぞれの放送内容の概要、および音楽教育に関するプログラムを整理した。とりわけ各番組で放送された童謡に着目し、番組を通したその変容について以下のような結果を得た。 放送開始直後から放送されていた『子供の時間』(1925[大正14]~1961[昭和36]年)では、当初、児童雑誌『赤い鳥』などで紹介された大正期の童謡が中心的に放送されていたが、昭和十年代になると、レコード会社が専属の作詞家・作曲家・歌手を使って量産した童謡(「レコード童謡」)が大正期の童謡とほぼ同じ割合で放送されるようになった。一方、1935(昭和10)年に学校放送番組の一つとして放送を開始した『幼児の時間』(~1965[昭和40]?)は、当初より童謡や唱歌を中心とした音楽プログラムに比重を置いた構成であったが、戦後は「幼児の歌」など子どもの目線や心情を重視した歌の開発を行った。また、戦後松田トシと安西愛子が歌唱指導を担当し放送された『うたのおばさん』(1949[昭和24]~1964[昭和39]年)は、『幼児の時間』内の一コーナー「うたのおけいこ」と連動する形で、同時代の作曲家に積極的に作曲委嘱を行い、童謡の新たな方向性を形作った。 ②放送文化研究所編『幼児向け放送の研究』に掲載された『幼児の時間』(1950年3月放送分)の台本に基づき、「音楽講座」の放送内容や教授方法を調査し、ラジオを通した戦後の音楽教育の一端を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に予定していた番組関係者への「①聞き取り調査」については遂行できなかったが、その他に計画していた研究課題はおおむね実行でき、研究報告として所属学会で発表を行った。また、成果物として共著が今夏頃上梓される予定である。 昨年度は所属大学の移籍や、演奏会の開催等により、十分な研究時間を確保できなかったが、積み残した課題は今年度の研究として継続して研究する。
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今後の研究の推進方策 |
〈今後の推進方策〉 ①戦後の童謡(幼児のうた)の楽曲分析を行い、戦前から戦中を経て戦後に至る時代毎のラジオ童謡の音楽様式の変遷を明らかにする。戦後の童謡の楽曲分析においては、『幼児の時間』を通して多くの童謡を作った、戦後を代表する作曲家、湯山昭氏への取材も予定している。 ②児童雑誌『赤い鳥』を契機に量産された児童雑誌において、ラジオ番組で放送された童謡を網羅的に調査する。なかでも刊行期間が『子供の時間』と『幼児の時間』の放送時期と重なる『コドモノクニ』を中心に、両番組で放送された童謡(楽曲付き)をデータベース化する。 ③ベルリン国立図書館において、戦前のベルリン放送局関係の資料ならびに音楽雑誌の調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外発注の書籍の納品が遅れたため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に納品されるため、今年度行う予定の研究計画と併せて実施する。
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