本研究では、デジタル技術を用いた新たな映像演出方法を開拓し、鑑賞者と映像とが一元化する視覚体験装置を用いて、身体性を強化した映像インスタレーション作品を制作・発表した。あらかじめ撮影された過去の映像に現実空間をマッピングすることで、時間と空間を横断する場を作りだし、鑑賞者が映像の中に身を置き、映像の中の人物と関係性を見いだすことで、各々が様々なイメージを喚起できる場を作り出すことができた。これは舞台や演劇等の歴史あるアナログメディアで行われてきた同時性や即興性をデジタルメディアに引き継いだ、新たな方法論であり、映像環境が多様化していくこれからの映像演出法の可能性を提示しているとも言える。
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