研究課題/領域番号 |
26580033
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
原田 健一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (70449255)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小型映画 / ミクロヒストリア |
研究実績の概要 |
これまで、研究領域として扱われてこなかった、マスのナショナルな物語の対極にある、市井の人々びとが自ら記録する、等身大の交わりのなかで紡ぎ出す映像のミクロヒストリー「小さな歴史」を問題にするため、まず全体像を把握すべく、戦前期、こうした小型映画をネットワーク化し、組織化していた全日本パテーシネ協会の機関誌であった『ベビーシネマ』(のちに『パテーシネ』 1927~1940年刊行)、ならびに戦後の『小型映画』について、国会図書館、早稲田演劇博物館など所蔵機関で閲覧し、その目次と通信欄などをコピーし、簡略ではあるがデータベースを作成した。 こうした全体像をある程度把握したところで、実際に戦前から戦後にかけて撮られた石井家の9.5mm、8mmなどの映像を発掘し、デジタル化を行った。さらにこうした映像を所蔵する小樽博物館、神戸映画資料館、国立近代美術館フィルムセンターの所蔵の映像を閲覧するなどを行った。特にフィルムセンターの所蔵の荻野茂二フィルムは、約400本近作品数があるだけでなく、戦前から戦後にかけて撮り続けた膨大なコレクションとなっているため、この全体の把握をめざし、9月と12月に集中した試写を行った。 なお、この研究内容をより深めるために、水島久光(東海大学教授)の連携的な協力のもと、共同的な研究体制を築いて進めることにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査は順調に進んでいるだけでなく、共同研究へと発展的に展開している。2015年3月21日、神戸映画資料館にて、神戸大学との連携のもとシンポジウム「イメージのサーキュレーションとアーカイブ」の「第2部 映像のミクロヒストリア」にて、小型映画の戦前と戦後を通した問題の概要と、荻野茂二作品の問題について発表を行った。その発表内容については、水島久光(東海大学教授)との連携による共同研究ステーションを、webサイトに開設し、そこに発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の調査では、さらに雑誌『パテーシネ』『小型映画』の記事の精査を進める。また、神戸映画資料館、国立近代美術館フィルムセンターの所蔵の映像を閲覧を行い、その内容研究へと進める。そして、連携的な共同研究へ展開すべく、情報の共有化だけでなく、映像の試写を共同で行うなどをし、次の段階へと進むことができるようにする予定である。
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