この中国の絵巻は、異類・異形を描く作品である。特にギメ美術館の「水陸斎図」(15世紀)は水を象徴する龍、土、牡丹、蕪、空気なども擬人化されて描かれている。さらに、同美術館の「掲鉢図」(16世紀)は、楓、桃の花、笹、竹などが擬人化されて描かれ、老若男女の区別もされている作品である。また、絵巻の特徴は、右から左方向に見るのが通常であるが、他の美術館蔵本には、左から右に向って、異形・異類が行列する描かれ方をしている作品があることが分かった。異本「百鬼夜行絵巻」には、蕪や牡丹の擬人化が描かれ、右向きの行列で描かれる作品もあることから、中国と日本の擬人化に関して、他の作品と共に影響の度合いを考察した。
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