室町時代から江戸時代までの公武上層社会における香文化のうち、薫物(たきもの)文化について記述した文献を調査研究し、薫物の製法の考案と相伝に関する史実及び伝承を収集、整理して検証した。これにより、薫物文化の中世から近世までの実相と、奈良時代以降の史的変遷の解明に努めました。特に、室町時代以降に行われたとされる「新作薫物」(平安時代以来の伝統的な薫物とは材料、趣向、名称の異なる新たな種類の薫物)の発祥と実相、史的変遷について、研究期間内に精査した文献の内容から跡付けるとともに、江戸時代前期の上層社会に薫物の流派の存在した可能性と、主要な流派の特徴について明らかにした。
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