研究課題/領域番号 |
26580047
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研究機関 | 大妻女子大学短期大学部 |
研究代表者 |
城殿 智行 大妻女子大学短期大学部, 国文科, 教授 (00341925)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 死生学 / 表象 / 映画 / 日本近代文学 |
研究実績の概要 |
研究計画に基づき、死生学に関連する表象理論の構築に努めるとともに、日本および国外における映像・言語資料の収集と分析を行った。また、両者を結びつける形で、関連する内容の一部分を、「輝く太陽の下で―谷崎潤一郎の「関西」と増村保造の「ローマ」」と題して近刊を予定する。谷崎は日本近代における映像と言語表象の関連を考える際に避けて通ることができない存在であり、本研究代表者もこれまで継続的に谷崎を論じてきた(「云ふ迄もない話―谷崎潤一郎『吉野葛』論」『文学』 8(4)、157-166頁、1997・10、「他の声 別の汀―谷崎潤一郎『蘆刈』論」『日本文学』48(6)、39-49頁、1999・6、「映画と遠ざかること―谷崎潤一郎と『春琴抄』の映画化」『日本近代文学』61、59-72頁、1999・10、「消された眉―泉鏡花と溝口健二の「映画的」文体」『大妻国文』44、107-126頁、2013・3)。今回は戦後の日本映画史においても重要な位置を占める監督増村保造との対比において、再考した。そもそも増村自身が、谷崎を溝口健二との関係においていち早く論じた批評家でもある。関東大震災を期に関西へと移住した谷崎と溝口に通底する創作意識・方法の大きな転回を指摘した増村の論点は、その後も複数の研究者に引き継がれているが、なぜ増村がそれを指摘する必要があったのか、その意義はあまり顧みられることがない。そこで、異文化圏への越境を契機に創作の質を転回させた増村自身の経験と対比させながら、戦前から戦後にいたる言語および映像表象の史的変化をあらためて論じた。日本における言語および映像表象システムの相関を主題とする本研究全体の推進にとって、有意義であったと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
欧州で複数生じたテロ事件に鑑み、当初は冬期にも予定していた資料調査時期を翌年以降に変更したため、研究実施計画との異同が生じた。しかし研究全般の遂行に支障はないと判断するため、当初の計画に照らして、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に生じた研究調査時期の変更を入れて、研究計画に若干の調整を加えつつ、それ以外は当初予定した研究実施計画に沿って、研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
欧州で複数生じたテロ事件に鑑み、当初は冬期にも予定していた資料調査時期を翌年以降に変更したため、若干の残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に資料調査旅費として執行する。
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