研究課題/領域番号 |
26580051
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松家 理恵 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (90212224)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ウィリアム・ハズリット / disinterestedness / 共感論 / イギリスロマン主義思想 / イギリス啓蒙思想 |
研究実績の概要 |
・ウィリアム・ハズリットに関しては、その唯一の哲学書である An Essay on the Principles of Human Action: Being an Argument of the Natural Disinterestedness of the Human Mind (1805)の翻訳を完成し、発表した。(ウィリアム・ハズリット著『人間の行為の原理について―人間精神の生得的公平無私性を擁護するための議論―』(中)、『近代』110号(2014年5月)、同(下)、『近代』111号(2014年12月) ・イギリス啓蒙思想との関係については、図書資料の収集を行い、シャフツベリ、ハチスン、デイヴィッド・ヒューム、アダム・スミスに関する研究書を中心にイギリス18世紀の道徳哲学の系譜について理解を深めつつ、ハズリットの思想との比較を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハズリットの著書の翻訳を計画通り完成した。 また、イギリス18世紀の道徳哲学の系譜について研究を行う中で、ハズリットの共感論との類似点(ハズリットが受け継いでいるもの)と相違点(自我論におけるハズリットの独自性)が見えるようになってきた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画としては、 ①さらにハズリットの著作および伝記・研究書を読み進め、彼の共感論の理解を深めるとともに、その後の批評活動との関連を明らかにすること、 ②18世紀啓蒙思想(道徳哲学)の研究を進め、ハズリットとの類似点と相違点を明確化すること、 ③①,②によって明らかにしたハズリットの共感論およびそれに関連した自我論の特質を踏まえて、そのロマン派詩人たちへの影響を考察する、 という3つの目的をめざして、さらに文献資料の収集と読書・研究を行い、論文を作成する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は主にイギリス啓蒙思想に関する図書資料の収集にあてたが、主要テクストがLiberty Fund社から非常に安価に出版されていたこともあり、当初の予想を下回る支出になった。
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次年度使用額の使用計画 |
まだ収集しきれていない図書類が多くあるので、次年度中に資料収集費として使用するほか、ハズリット・ソサイエティの研究発表会(ロンドン大学)参加の機会を使い、ハズリットとワーズワス、コウルリッジ、キーツに関する調査・資料収集の旅費として使用する予定である。
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