本研究では、ライフ・ライティングや学校小説などの文学作品の分析を通して、18世紀後半から20世紀前半にかけて、イギリスでは女性のキャリア形成がどのように変化したかを考察した。その結果、19世紀後半の女子教育改革により女子の中等・高等教育が始まったことが、その変化に大きく影響していることが明らかになった。19世紀前半までは、エリザベス・フライのケースのように、宗教団体のネットワークを利用して多様な活動をグローバルに展開するルートがあったが、女子教育改革以降は、学校という場がキャリア形成に必要な知識や価値観、人的ネットワークを提供し、女性のキャリアへの意識の変化を劇的に促した。
|