研究課題/領域番号 |
26580056
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
ダベンポート アンジェラ 東京女子大学, 現代教養学部, 講師 (70615666)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / 国内研究者交流 / ワークショップ / 初期近代研究 / データベース / デジタル・ヒューマニティーズ |
研究実績の概要 |
研究の目的:ロンドン・ブライドウェル救貧・矯正院の法廷記録(4巻[1598年]~5巻[1610年])のデ ータベース化をすること。オンラインデータベースを使った初期近代研究の促進およびオンラインデータベースを作成するという研究分野を促進するデジタル・ヒューマニティーズの分野に貢献すること。 実績: 1.法廷記録の自動書き起こしソフトの作成に関しては推定よりも遥かに複雑であることが調査によりわかった。同様のソフトの開発を別の古文書で試しているヨーロッパの研究グループ達も試行錯誤の連続であり、現時点では技術的に難しい可能性が出てきてしまっている。開発の一歩を踏めるよう調査を進めている。 2.博物館が既にウェブ上で公開している記録のイメージ画像の質では書き起こしツールを作成することが難しい為、高画質のイメージ化について交渉にあたっていた。しかし8月に競合相手(家系図作成のための公的資料をネット上で有料で提供している大手会社)が登場。協議のうえ大手会社に最高画質のイメージ記録をデジタル化してもらうこととなった。データベースをウェブ上で無償で提供するという計画は続行できないことになったが、博物館への来訪者のみ無償で閲覧することが出来るという可能性を与えていただいた。 3.シェイクスピア学会(10月12日)においてDigital Humanities and the Future of Renaissance Studiesというタイトルでセミナーを開催し、シェイクスピア研究を始めとする初期近代研究において①Early English Books Onlineをはじめとするオンラインツールを使用する大切さ、②デジタル・ヒューマニティーズを自分の研究テーマとして掲げる大切さをセミナーメンバー達と紹介した。また、このセミナーメンバーを中心に研究グループを立ち上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
早い段階でソフト開発の複雑さ/難解さに直面し試行錯誤を繰り返しているため。また競合相手の突然の登場により、自分の思うように事が運べなくなったことが大きな原因としてあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
書き起こしソフトの開発については、当初の計画通りブライドウェル法廷記録4巻と5巻を全て書き起こすことは無理かもしれないが、次世代に続いていくような書き起こしツールの第1歩を開発することができると良いと考えている。同様の試みをしている研究機関とのやり取りを活発にしていきたい。 もともとブライドウェルの法廷記録を活字化してデジタル化したいということが動機であったため、手仕事になってしまうが既に書籍上に活字化されている記録を収集してデジタル化し博物館に渡したいと考えている。 デジタル・ヒューマニティーズの研究グループを立ち上げたが、今年度も初期近代研究者・学生の意識をさらに高めることを目的とし、月1回のミーティングを続け、ワークショップも年3回程度開催する予定である(初回は6月28日にEarly English Books Onlineの講習会を東京女子大学にて開催予定)。8月には国会図書館で国会図書館職員向けにEEBOの講義を開催予定。9月上旬には京都大学で開催されるディジタル・ヒューマニティーズの学会に参加予定である。グループのウェブページ、facebookページ, twitterページの充実をすることで情報発信を積極的にしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年、適当なソフトウェア開発者が見つからなかったが、次年度ソフトウェア開発者に支払う額が高額になることが見込まれたため2014年度にはなるべく使用を控えた。
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次年度使用額の使用計画 |
専門知識と高度な技術を有するソフトウェア開発者への支払いに使用する予定。
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備考 |
ウェブページについての説明:(1)はシェイクスピア協会のウェブページ上にある学会セミナー報告。(2)と(3)はセミナーグループで作成したウェブページで(2)から(3)に移行中。欧米のデジタル・ヒューマニティーズグループと同様、情報拡散・収集・コネクションの目的のためFacebook頁やtwitterの頁も所有。
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