本研究は、「メタバイオグラフィー」が従来の伝統的な伝記といかに異なるかを考察し、新しい学際的ジャンルとして確立することを主目的とした。研究の結果、二種類の「メタバイオグラフィー」―「伝記についての伝記」と「伝記を書いていく過程を明らかにする伝記」―を示した。前者は、ニコラス・A・ルプケ『アレクサンダー・フォン・フンボルト伝』(2008)に代表される。後者の誕生は、リットン・ストレイチーやヴァージニア・ウルフが活躍した20世紀前半のモダニズム期であり、その特徴がポストモダンの「メタバイオグラフィー」および「メタバイオグラフィカル・フィクション」に発展的に継承されていることを論証した。
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