研究課題
本研究の目的は日本、中国、南アジア、オセアニアを対象に、本来目に見えない心的対象が、言語化され、可視化された過程を追うことにある。本年度の研究成果は以下のとおりである。1.生成人類学会第10回国際学会(於金城学院大学2016年6月)に、金城オカルト研究会として参加するため、勉強会を開催、発表準備を進めた。諸般の事情から、研究発表は日本に限定することとなり、A Door to another World: The Imagination in Japanese Folkways and Religionと題し、分担研究者の小松史生子、龍澤彩、桐原健真が研究成果を発表した。2.上記以外の研究者については、以下のとおりである。地域を超えた共通性を炙り出すために「コミュニケーション」をキーワードに研究を進め、それぞれ成果を発表した。桑原牧子は仏領ポリネシアで現地調査を実施、偶像ティキをめぐるコミュニケーション、とりわけ悪魔祓いとティキを模様とするイレズミの施術が重なる領域で交わされるコミュニケーションによって発動する、ポリネシア人の信仰について文化人類学的考察を行った。王欄は、日中比較文化として、柳田国男の方言が周作人に与えた影響について研究をすすめた。柳田の方言研究の代表作『蝸牛考』は、1930年代以後の周作人に大きな影響を与え、周の方言理解を深化させるとともに、民衆の生活実態と心理反応の凝縮された表現手段としての方言の価値を再認識させるに至ったことを明らかにした。加瀬佳代子は、西洋の「精神性のパラダイム」であるインドをとらえ直したものとして、 Yann Martel, Life of Pi (2001)を分析した。この小説では、宗教が一つの軸となっているが、それとともに、その語りにインドの「語り/騙り」を採用していることに着目し、パラダイムが刷新されていることを指摘した。
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比較文学
巻: 59 ページ: 37-51
Anthropoetics
巻: 22 ページ: ー
〈変態〉二十面相
巻: 1 ページ: 138-150
怪異の時空1 怪異を歩く
巻: 1 ページ: 182-202