研究実績の概要 |
日常言語の使用は高度に文脈依存的である.文脈依存性は, 主体としての話者の発話生成・解釈を規定する時空間, 認知的, 言語的要因のみに限定されず, 言語使用者の所属集団に固有の社会規範・文化・価値が言語行動を規定するという側面も存在する. 本研究は, 生物・物理科学分野で局所的構造・現象と大域的構造・現象との相互作用を記述するために提案された「場」概念を出発点として, 言語使用を規定する社会的・情報的制約を「場」ととらえる新しい言語理論を開発することを目的とする. 平成26年度は,会話参加者のうちの上位者の有する権威(Authority)の会話インタラクションへの現われ方の国際比較を通じて「場」に関する考察を行った,その成果を国際会議および書籍により発表した. また,代表者および連携研究者を中心とした研究会合を一回開催して「場」概念の可能性を探るとともに,言語学における「場」概念の具体化のための討論を目的として来年度に国際的研究集会を開催する方針を決定した. .
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