研究課題/領域番号 |
26580075
|
研究機関 | 国際教養大学 |
研究代表者 |
邊 姫京 国際教養大学, 公私立大学の部局等, 助教 (90468124)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 対照研究 / 閉鎖音 / 対照研究 / 韓国語 / 日本語 / 生成と知覚 / 言語変化 / 音声教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日韓閉鎖音の対照研究を通じ、日本語を母語とする学習者が韓国語の無声子音(激音・平音・濃音)を学習する際に役立つ知見を得ることである。具体的には、近年明らかになった両言語における閉鎖音のVOT値の変化について後続母音のf0値との関連を探りながら、生成・知覚の両面から検討を行う。 1年目はそれぞれの母語話者と学習者の音声を収集し、(1)韓国語閉鎖音のVOT値とf0値、(2)日本語閉鎖音のVOT値とf0値、(3)学習者における韓国語閉鎖音のVOT値とf0値を分析した。 (1)は10代から60代の話者を対象に韓国語閉鎖音のVOT値について年齢、性別、発話速度、発話スタイルによる違いを検討した。このうち年齢と性別に関して、平音におけるVOT値の変化は女性が全体をリードしていること、激音と平音のVOT値は現在「弁別」「重なり」「融合」という異なる3つの状態が併存していることを確認した。さらに3種の子音の生成のカテゴリー域はVOTとf0の組み合わせることで互いに重複することなく説明できることを確認した。 (2)はVOT値のみでは無声音と有声音が重複することがあるが、f0値を加えた二次元図に表現した場合、重複がわずかに解消できることを確認した。 (3)の学習者の韓国語子音は学習歴にかかわらずネイティブの結果とはかなりの差があり、特にf0の違いによる激音と平音の弁別はほとんど機能していないことが明らかになった。日本語ピッチアクセントの高低感覚を韓国語子音の弁別に応用するためには、特別な方策が必要そうである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
韓国語母語話者の音声収集がスムーズに行き、年齢差と性差の分析にある程度の人数を確保することができた。一方、日本語母語話者と学習者の音声は人数がやや不足しているが、次年度の実験の際に追加の収録ができると見込んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の予定どおり、次年度は知覚に関する研究を進める。日韓閉鎖音のVOT値とf0値を操作した合成音声を作成し、日本語母語話者と学習者を対象に知覚実験を行う。日本語閉鎖音の知覚にVOTとf0の値がどこまで、どのようにかかわっているかを探るのが目的である。また、学習者の韓国語閉鎖音の知覚能力が韓国語ネイティブのそれとどのような違いがあるかを検討し、音声指導の際の手かがりをつかむ。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会発表の旅費にあてるために前倒し請求した分が残っている。
|
次年度使用額の使用計画 |
知覚及び生成実験の謝礼と学会発表のための旅費にあてる。
|