本研究の目的は、近年起こったとされる韓国語閉鎖音におけるVOTの変化を受けて、その詳細を明らかにした上で変化の結果を反映した新しい韓国語閉鎖音の指導法を提案することにある。主な成果は次の通りである。 (1)1970年代以降生まれのソウル方言話者は平音と激音のVOTが融合しVOTによる弁別はなくなっている。これらの世代はVOTの代わりに後続母音のF0の違いで両子音を弁別している。(2)ピッチアクセントを有する日本語母語話者はF0の違いに敏感であり、韓国語学習者における平音と激音の弁別はこの特徴を利用して平音は低く、激音は高く発音するように指導する。F0を利用した方法は聞き分けにおいても有効である。
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