研究課題/領域番号 |
26580079
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
首藤 佐智子 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90409574)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 司法コンテクスト / 法と言語 / 語用論 / ヘイトスピーチ / 脅迫 / 司法通訳 / 謝罪 / 誤訳 |
研究実績の概要 |
2016年度は、橋内武・池邉瑞和・首藤がヘイトスピーチ対策法を法と言語の観点から分析し、2016年6月の法と言語学会研究例会で研究発表を行った。池邉・藤井智也・首藤は、前年度からの継続で、刑法における「脅迫」の概念と一般人が「脅迫」という語が表す発話行為という概念との比較分析を行い、その相違を明らかにし、また脅迫に該当するか否かの司法判断がある程度語用論的説明に近いものであることを示した。この成果は「刑法における「脅迫」と発話行為としての「脅迫」を比較する-限界事例を参考に-」と題して、2016年9月発行の『法と言語』第3号に掲載された。上記の研究成果のうち純粋に語用論的理論に関する議論で上記論文に言及しなかった部分を発展させ、池邉・首藤が2016年12月の日本語用論学会研究大会で発表した。同内容を論文にしたものは2017年8月発行予定のプロシーディングスに掲載される予定である。また首藤は2009年の司法通訳誤訳事件における謝罪表現および非謝罪表現の日英対応を分析した英語論文を執筆し、International Journal for the Semiotics of Lawに投稿した。掲載時期は未定であるが2017年に刊行される予定である。同論文執筆の過程において派生した謝罪における誠実条件に関する語用論的理論を発展させた研究成果をSincerity Condition Revisited: Truth or Dare?と題して、12月のThe 21st Joint Workshop on Linguistics and Language Processingで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度前半はかなり意欲的に活動し、それなりの成果をあげることができた。しかしながら、研究代表者が9月から役職につき、研究活動にあてる時間が大幅に削られたため、後半に予定していた研究活動が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
上述の研究代表者の都合により、当初3年の予定を1年延長し、継続する予定である。2017年度は、2016年後半に執筆する予定であった論文など、研究成果の発信に努める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者は2016年9月から所属大学の全学共通科目を提供する部署の教務主任を兼任している。同兼任は8月になって決定されたもので、研究代表者は研究計画を大きく変更せざるを得なかった。2016年度の後半の研究成果の公表は同年度前半の研究を反映したものであり、2016年度後半に予定されていたの研究そのものや、その公表を2017年度に行う予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年に法と言語学会において研究発表を行う予定である。
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