2017年度は、これまでの研究の成果をまとめる活動と新たに研究のシーズを探る活動を行った。研究代表者は、前年に2009年の司法通訳誤訳事件における謝罪表現および非謝罪表現の日英対応を分析した英語論文を執筆し、International Journal for the Semiotics of Lawに投稿したが、査読の結果、いくつかの修正を要請された。このジャーナルの掲載される号は日本の法と言語関係の論文が掲載される予定であるが、2017年の刊行の予定が他の投稿者の都合により延期され、掲載時期は2018年の予定であるが、詳細は未定となっている。 また、池邉瑞和と共同で2016年12月に「発話行為の「名前」による概念の形成を探る―「脅迫する」「おどす」「おどかす」の成立条件の比較を参考に」と題して日本語用論学会第19回大会で発表した内容を論文にまとめ、日本語用論学会大会発表論文集第12号に投稿した。この論文集は2017年12月に同学会のホームページで公開された。 新たなシーズを探る活動としては、中国からの訪問研究員呉偉麗氏やゼミの受講生と共に外国人が被告人となっている裁判を数回に渡って傍聴し、実際の発話と司法通訳の通訳の発話の比較を行った。残念ながら、このようなデータを公開することには制約があるため、今回は量的分析に比重をおいて考察した。この成果は現在論文にまとめている最中であるが、現時点(2018年5月)で投稿には至っていない。 この他、司法の要素を含む場面での謝罪表現の分析を行った。公式な会見がインターネット上に掲載されていたため、データ収集は容易であった。この成果は現在論文にまとめて、8割程度の記述が終了しているが、現時点で投稿には至っていない。
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