本年度は研究期間(平成26~28年度)の2年目にあたる。平成27年度は、研究計画に基づいて、(Ⅰ)用例調査、(Ⅱ)文献調査、(Ⅲ)研究打ち合わせ会議を中心に研究活動を行なった。研究を進める中で、条件文と疑問文とが密接に関係することに気づき、古代語の疑問文との関係についての考究を新たに行なった。その他にも本研究テーマにおける新視点が得られ、順調に研究が進められた。 (Ⅰ)用例調査:上代語の用例調査を行なった。具体的には、『万葉集』を資料として、典型的条件文と非典型的条件文の調査を行い、両者の差異を比較・検討した。また、中古語についても、主要な文学作品において典型的条件文の調査を行い、分析を試みた。 (Ⅱ)文献調査:国立国会図書館への数回にわたる調査において、現代語や他言語の研究における条件文の研究文献、条件文に関わる主題化、名詞節の研究文献を調査・収集した。また、博士論文についても調査し、若い世代による最新の研究にも目配りを行っている。 (Ⅲ)研究打ち合わせ会議:年数回に及ぶ研究打ち合わせ会議を開催し、自分自身の研究成果、研究方法について批判的検討を行うとともに、各分野の研究者の教示を得て、本研究テーマの分析方法について、有益な示唆を得た。 以上の研究によって、非典型的条件文と典型的条件文との差異を分析していく上での指標として、最初に挙げた疑問文との関係の他に、指示詞、名詞句の意味解釈、係助詞との関係が重要であることが明確になった。
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