研究課題/領域番号 |
26580093
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
桑原 陽子 福井大学, 国際交流センター, 准教授 (30397286)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 漢語動名詞 / 意味推測 / 非漢字系日本語学習者 |
研究実績の概要 |
漢語動名詞の意味推測過程について,非漢字系上級日本語学習者3名を対象に個別インタビュー調査を行った。漢字熟語の呈示条件を次の(1)と(2)の2段階に分けた。(1)漢字熟語単独で見る,(2)漢字熟語の品詞に関する情報が追加される。それぞれの段階でどのように意味推測が行われるのか,(2)で情報が追加された場合,その意味推測内容が(1)からどのように変化するかについて,詳細に聞いた。 この3名分のデータを,すでに調査済みの別の3名のインタビューデータと併せ,合計6名分のデータを対象に分析を行った。その結果,漢語動名詞の正しい意味推測を困難にする要因として,次の(3)から(6)の4つが明らかになった。(3)熟語を構成する漢字が動詞性を持たない。(4)熟語を構成する漢字が接辞的用法を連想させる。(5)既成の漢字熟語から派生して使われている漢字がある。(6)漢字熟語の語構成に関する誤った思い込みがある。この結果の詳細については,桑原(2014)にまとめている。 同時に,漢語動名詞の判断基準調査(質問紙調査)の調査表を作成した。調査表作成にあたっては,張(2014)のデータやこれまでのインタビューから得られた知見を参照し,合計420語の漢字2字熟語を調査材料として選択した。その調査表を用いて,非漢字系上級学習者1名に対して予備的調査を行った。 ・桑原陽子(2014)「非漢字系上級日本語学習者による感度動名詞の意味推測の困難点-「する」の有無が推測に及ぼす影響-」『福井大学国際交流センター紀要』創刊号,1-12. ・張志剛(2014)『現代日本語の二字漢語動詞の自他』くろしお出版
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インタビュー調査結果を論文にまとめることができた。また,2015年度にドイツで実施する質問紙調査のための調査表を作成し,予備調査を行い,調査開始の準備が完了した。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度に作成した質問紙調査表をミュンヘン大学(ドイツ)に送付し,調査を実施する予定である。同時に,日本国内でも同じ調査を行う。国内での調査では,可能な限り調査後のフォローアップインタビューを行い,漢字2字熟語が漢語動名詞かどうかの判断に及ぼす要因について,被調査者の内省からの抽出を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査を行うための出張旅費を計上していたが不要であったこと,調査謝金が少額であったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
国内におけるフォローアップインタビューを丁寧に行うために,調査謝金を使用する予定である。
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