研究課題/領域番号 |
26580097
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
馬場 良二 熊本県立大学, 文学部, 教授 (30218672)
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研究分担者 |
大庭 理恵子 熊本県立大学, 文学部, 講師 (80618009)
飯村 伊智郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (50347697)
大山 浩美 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 研究員 (00590126) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 日本語支援 / スマートフォンでの発音練習 / 拍とモジュール / 進化型データベース / 日本語音声のリズムの本質 |
研究実績の概要 |
外国人の日本語の第一印象は、その発音で決まります。フォーマルな場での日本語らしい発音の実現のためには「特殊拍(促音、長音、撥音)」、「母音の無声化」、「助詞および文節末」が重要だと考えました。特殊拍とは、促音「いっち」の「っ」、長音「チーズ」の「ー」」、撥音「さんま」の「ん」のような単独で音節を構成しないが,その有無が意味の区別に関わる拍のことです。「母音の無声化」とは、母音が無声子音、あるいは、無音に挟まれる場合に声帯がその振動を止める現象のことで、日本語の発音にメリハリをつけます。「助詞および文節末」は、長すぎてしまうと、おさない、あるいは、だらしない印象を与えてしまいます。これらの要素をふくみ、日本語らしい発音の独習に有効であると考えられる語や文を、日本語教育的見地から選出し、アンドロイド版とiOS版のアプリを作成しました。スマートフォンで手軽にいつでも独習できるようにするためです。 本アプリに実装した機能は、「特殊拍」の発音練習機能および聞き分け練習機能、「母音の無声化」と「助詞および文末節」の発音練習機能、聞き分け練習機能、ディクテーション機能です。 各機能の判定基準は日本語教育研究者の見解に基づいており、この判定基準によって学習者の入力に点数をつけ、カラオケマシン感覚で楽しく独習できるようにしました。繰り返し練習して評点をあげることによって、発音独習に対する学習効果が期待できると考えます。今後は、日本語を学習する日本語非母語話者を対象に本アプリを利用してもらい、本アプリの有用性についてより詳しく評価していく必要があると考えています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、システム構築とスマートフォンへの実装を平成28年度に予定していましたが、平成26年度からすでに一部実現しており、平成27年度にはさらに充実させました。予想以上の進展です。ただ、各国語話者の音読データを収集、分析し、母語ごとの日本語音声の拍とモジュールへの影響を解析する研究がおくれています。総合的には、「おおむね順調」です。
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今後の研究の推進方策 |
すでに稼働している独習アプリによって、世界中の日本語学習者の音声が収集されています。蓄積されているデータを解析し、拍とモジュールの関係、各母語の日本語音声への影響を計算、関数化しなくてはなりません。一方で、独習アプリの日本語音声分析は、既存の音声認識エンジンJuliusを利用したものです。音の長さの計測の精度がどの程度のものなのか、アプリがどの程度正確に学習者の音声から音の長さを切りだしているのかの検証がいまだなされていません。今後は、システムによって大量に集められたデータと、研究室で独自に収集、分析したデータとをつきあわせ、アプリの精度を確認します。その上で、日本語音声における拍とモジュールの関係、そして、この二つと日本語らしさとの関係を解明し、各母語話者にどのような音声指導をすべきか、その教授法を確立していきます。
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次年度使用額が生じた理由 |
録音音声の分析が進まず、その結果のコンピュータ入力が一部出来なかった。そのため、入力謝金を使わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度にできなかったデータ入力を、28年度に実施する。
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備考 |
開発したスマホアプリ「ゆにおん」のダウンロードは、Android OS版が http://bit.ly/2387MFC、iOS版が http://apple.co/1N1w6aH です。
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