本研究の目的は、中国人介護留学生が遭遇する介護福祉士国家試験、並びに、介護施設でのやりとりで使用される日本語の特徴を明らかにし、教育への応用を考察することである。まず、国家試験は、筆記試験6年分の日本語を旧日本語能力試験の観点から分析した。次に、介護施設では、留学生2名の施設のアルバイト中の会話データを収録し、作業別に談話を分類して、留学生の日本語の特徴を主に旧日本語能力試験の観点から分析した。この結果、国家試験とアルバイト場面の文法・語彙項目は、集計上は類似の傾向もあるが、質的に異なる項目が多数使用されており、単純に日本語能力試験を目指した日本語学習では効率的とはいえない点が明らかとなった。
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