研究課題/領域番号 |
26580109
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
須田 孝司 富山県立大学, 工学部, 准教授 (60390390)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 第二言語習得 / 文処理 / 事象関連電位 / 習熟度 / 記憶容量 |
研究実績の概要 |
第二言語習得研究では、第二言語学習者の言語知識、特に文法能力に関する研究が数多くなされており、それらの研究では、第二言語学習者がどのような言語知識を持っているのか議論が行われている。本研究では、第二言語学習者の言語知識について議論するのではなく、脳内活動を可視的に観察することのできる事象関連電位(ERPs)を測定し、第二言語学習者がどのように目標言語を理解しているのか、その理解の過程を調査する。実験では、日本人英語学習者が英文を読む際のERPsデータを集め、即時的な処理が要求される状況における日本人英語学習者の文処理過程について検証を行う。また、習熟度や記憶容量といった個人差の影響にも着目し、そのような個人差が、日本人英語学習者の文処理過程にどのような影響を与えているのか、議論することも視野に入れている。 本年度は、本実験の前の予備調査ということで、5名の日本人英語学習者を対象に、英語の習熟度と日本語での記憶容量を測った上で、ERPsデータを集めた。実験マテリアルは、従属節のある複文(能動文と受身文)、主語強調文、目的語強調文であり、日本人英語学習者が、それら複雑性の異なる英文をどのように理解しているのか、また問題文の提示方法やデータ収集方法に問題点はないのか、など様々な角度から実験方法の適切さや妥当性について検証を行った。また、MATLAB上で脳波解析ソフト(EEGLAB)を走らせ、集められたデータをどのように整理・解析したらよいのか、ということについて、他の研究者らと検討を行った。 今後は、これらの検討結果を踏まえ、習熟度や記憶容量の異なる日本人英語学習者からERPsデータを集める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、予備調査として、5人の日本人英語学習者よりERPsを集めることができた。まだ本格的に集めたデータの分析を行うことができたわけではないが、実験方法やERPsデータの収集・整理・分析方法について、他の研究者と検討することができた。したがって、初年度の目標は、おおむね達成できたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、やや習熟度の低い日本人英語学習者よりERPsデータを集めたが、今後はもう少し習熟度の高い日本人英語学習者を対象とし、ERPs実験を行う予定である。それにより、習熟度や記憶容量の違いが、どのように第二言語学習者の文処理過程に影響を与えるのか、検証することができると思われる。 しかし、研究代表者の異動により、ERPs実験を行うことのできる場所が遠くなった。そのため、実験をいつ行うのか、被験者をどこでどのように集めるのか、また被験者を実験場所まで連れていくためにはどのようにしたらよいのか、など実験を行う方法について検討することが必要になった。 また、本年度集めたデータを分析する過程において、データ解析のためのソフトウェアが不足していることが明らかになった。今後はそのソフトウェアを早めに入手し、さらなる分析を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ解析の際に必要となったソフトウェアを購入しようと思ったが、手続きが間に合わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度にそのソフトウェアを購入する予定である。
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