本研究は公立小学校における内容を重視した英語教育法を開発、実践し、さらに検証することを目的としている。研究期間2年目に所属機関より在外研究の機会を与えられ、アメリカに在住したため研究者自身が授業を行い、データを収集することはできなかった。研究3年目は、開発した活動など分析し、冊子にまとめる予定にしていたが、帰国後、所属機関において役職につき実質的に研究を遂行することができなくなり、研究期間の1年延長を申請した。今年度は研究最終年であったが、前述したような予定変更にも関わらず当初予定していた研究目的は概ね果たすことができた。 今年度はまず4年間続けてきた公立小学校の英語の専科教員と協働で開発した内容重視の授業活動の実践をまとめる作業をした。これは公立小学校で導入可能な内容重視の授業活動の一環としてストーリーと関連付けたthematic approachの可能性を考え、storytellingと内容重視の授業活動の融合を図った試みである。すでに東京都の34の小学校と岡山市の10校、および大阪のイマ―ジョンプログラム幼稚園で採用されている。本研究では東京で中心的に動いている専科教員4名と研究者自身の実践記録を冊子にまとめた。 次にヨーロッパで実践されているCLILの実践を見ても、本格的にCLIL授業をするにあたってはリタラシーを十分に育てる必要があることがわかる。本研究ではこの点を考慮し中学校での内容重視活動をリーディング活動と限定し、理科を題材とした英語教材開発に力を入れてきた。欧米諸国で出版されている教材の中から厳選したものを実際の教室で使用してもらった。こちらの研究はさらに継続して改良していかなくてはいけないが、現場の教員からの報告より、予想以上に生徒がこのscience readingを楽しみ、かつ英語力を伸ばすうえで重要であると認識していることがわかった。
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