研究課題/領域番号 |
26580113
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
藤田 智子 東海大学, 国際教育センター, 教授 (80329002)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 対話型スピーキングテスト / グループオーラルテスト / スピーキング能力の評価 / 音声認識ソフト / 大学入試 / 大量受験者 / 同時評価 / 評価基準 |
研究実績の概要 |
本研究を論文にして発表する準備段階として、対話型スピーキングテストの先行研究をまとめてReview論文を発表した(スピーキングの対話の評価,2016)。対話型スピーキングテスト研究のなかで、評価基準を簡素化し、大量の受験者が同時に受験することをめざす本研究の独自性を強調するためである。過去2年間の試行錯誤の結果、本研究では機械採点部分では「発語数」だけを評価基準にする。もう一つの基準「話者間の発語数バランス」は、参考にするための予備基準にすることにした理由は、「発語数」に比べ「話者間の発語数バランス」が総合評価との明確な相関関係が示せなかったためである。一方で、人による採点については、発音と流暢さを「発話の流れ」とし、いかにスムースな会話ができているかを測る評価基準とした。さらに、文法と内容をまとめて「発話の複雑さ」とし、対話の内容がいかに深くて複雑であるか人が評価する基準にすることにした。このようにして最終的な評価方法を設定することができた。評価方法の確立を受けて、今後は従来の人採点にのみ頼った5つの評価基準(発音、語彙、文法、流暢さ、会話方略)による評価結果と、新方式(発話数、発話の流れ、発話の複雑さ)を比較して、本研究のテスト妥当性検証の段階へ入った。今後は既に収集したデータを音声認識システムに入れて機械採点側では「発語数」を測定し、人採点側では「発話の流れ」「発話の複雑さ」を測定して「グローバル人材の会話能力テスト」の3つの評価基準による対話型スピーキングテスト妥当性検証を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の最終段階の3年目(平成28年度)には、本務校の学科長の任期を終え本研究に専念する予定であった。しかし大学側から任期延長を強く求められたため、履修学生14000人の英語教育プログラムの責任者としての役職をもう1年続けることとなった。そのために研究の時間が著しく制限された。さらに秋以降、本務校から他大学に移ることになり、引き継ぎや移動準備に時間を要したため、落ち着いた環境で研究データ収集やその分析をできる状況にはなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、評価基準に焦点を当て、対話型スピーキングテストの評価を短時間で正確かつ効率的に評価することを目指している。将来的には大学入試のように大量受験者が同時に受験しても、処理できる評価システムを設計することを想定している。本研究においては、機械採点による「発語数」、人採点による「発話の流れ」「発話の複雑さ」という3つの評価基準による評価を実施している。今後はこれらの3つの評価基準による測定結果と、従来の人が手間暇かけて実施してきた5つの評価基準(発音、文法、語彙、流暢さ、会話方略)による評価結果を比較検討し、グローバル人材会話能力テストの妥当性検証を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、本務校の14000人が履修する英語教育プログラムの総責任者の役職3年任期を昨年度に満了し、本年度は研究にかける時間を大幅に増やす予定であった。しかし、学長・副学長から任期延長を強く要請され4年目の役職を引き受けることとなった。さらに組織改編による業務量の激増と、結局転職することになったため、研究のための時間と環境は本年度についてはほとんど無かった。本年度時間的な制約があり実現しなかった計画を次年度に廻して実施する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
8月下旬から9月上旬にかけてイギリス応用言語学会に出席し、ケンブリッジ大学のスピーキングテスト研究者たちとの打ち合わせや発表をするための外国出張旅費に使用する予定である。また、遅れていたデータ分析のための人件費などにも使用する計画である。
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