本年度は所属機関(東海大学)を異動したため、自宅と研究室の引っ越し等で、データの再整備に時間を要した。そのために本研究の新たなデータ分析などの時間が制限された。 しかし、夏期休暇中にイギリスのCambridge Assessmentを訪れて対話型スピーキングテストの実用化について相談した。IELTSなどの商業的英語テストを制作している機関においても、2人または3人の対話型スピーキングテストをひとまとまりの会話として録音し、受験者1人ひとりを区別して音声自動認識する技術が確立できていないという話であった。つまり現段階ではテスト終了後、それぞれの対話者の会話をひと続きの会話から分けて編集する時間を要し、評価時間を短縮することができないことが分かった。 しかし、本研究の目的はグローバル人材養成に必要なインタラクション能力、対人適応力を測るテストの開発である為、今後も対話型を研究対象にすることは変わらない。編集に少し時間をかけても、音声自動認識システムを使用し各受験者の発語数を数え、発語数と対話全体および、流暢さ、発音等の各評価基準の関係をより多くのデータを収集し、詳細な調査を継続する必要がある。対話者間の発語数バランスについては、負の相関関係が認められたが、もっと多くのデータを収集分析することで結果に変化が出る可能性も残される。 技術的には未だ制約される部分もあるが、受験者の発語数でスピーキング能力を予測するという本研究の独創性を保ちながら、妥当性の高い対話型スピーキングテストの開発をめざしていきたい。
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