研究実績の概要 |
本研究は, 高い精度で英語の基礎的なコミュニケーション能力を予測できるオンラインの語彙テストを開発することを目的としている。今年度は,昨年度開発した音声版の語彙テスト(AT)と文字版の語彙テスト(VT)を利用して,英語のコミュニケーション能力との関連を調査した。 開発した語彙テストは,JACET8000(初版)の8レベルからそれぞれ同じ品詞15語を目標語として抽出し,日本語訳を選択する形式とした(計120問)。ATとVTは,テストに使用する目標語や,画面で提示する時間が同一になるように開発した平行テストで,音声版に続いて,文字版を受験するような設計とした。所要時間はそれぞれ20分以内で終了できるようにした。本調査は,TOEICを同時期に受験した140名の首都圏の理工系大学の学生が参加した。参加者は教養科目の一部として英語を履修しており,授業の一環としてPC教室で本テストを受験した。調査の結果,語彙テストの平均は,文字版で88.58点, 音声版で78.16点となり,文字版の語彙テストの方が平均点は高かった。高頻度では,音声版と文字版の語彙テストの平均点が接近していたが,頻度が低くなるにつれてテスト間の得点差が広がり,文字版のテストの得点が高くなった。また,TOEICとの相関では,文字版(r=.44)よりも音声版(r=.57)の方が高いことが明らかになった。顕著な点は,TOEICのリーディングの部門であっても,文字版(r=.48)よりも音声版(r=.56)の方が,相関が高かったことである。 大学生の英語習熟度を予測する上では,音声版のテストも重要なことが明らかになった。
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