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2015 年度 実施状況報告書

LMSを使った英語教員が作成できるe-learningプログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26580115
研究機関日本大学

研究代表者

川嶋 正士  日本大学, 工学部, 准教授 (50248720)

研究分担者 渡邊 博之  日本大学, 工学部, 教授 (40147658)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードe-learning / コンテンツ / 記述入力 / 5文型 / 文分析
研究実績の概要

平成27年度においては2つの面で5件の学会発表と学会誌における3本の論文発表という実績があげられた。1つの国際会議を除いては,いずれも日本学術会議協力学術研究団体におけるものである。1つはe-learning のプログラム作成という本研究の趣旨の中心をなすものである。すなわち本研究の前提となるLMSを用いた英語コースウェアの内容の拡充である。昨年度に取り組んだ課題についてまとめた内容を9月に発表した(学会発表3)。また,本研究の特徴である学際的な取り組みとCALL教室を用いた研究の運用の今年度前学期までの進捗状況を9月にインドネシアで開催された国際会議に招待された時の発表課題とした(学会発表4)。また,今年の3月には1昨年までのコンテンツ作成とその内容で教育した結果をt検定した研究を論文にまとめて発表した(雑誌論文1, 2)。
さらにもう1つ昨年度より継続している長期的な視野に基づく研究も進展が見られた。Parsing(文解析)を行うためにコンテンツに関するる「5文型」研究は5月にこれまでの研究の包括的な概観と研究情報が断片的であることを史的に俯瞰した発表をした。(学会発表1)。8月には「5文型」の科学性と規範性の問題について発表を行った(学会発表2)。このほか11月の日本英語教育史学会研究例会において昨年2月に刊行した著書を題材に講演することを依頼され,『自著について語る』という講演を行った(学会発表5)。論文に関しては,「5文型」の構造を特殊なものにして,理解の障害となる「第4文型」に関して史的な視点と理論的な視点から論じたものが発表された。12月に二重目的語の誕生の経緯を論じたものがに掲載された(雑誌論文3)。本年3月末には二重目的語構文と第4文型の位置づけの関係について論じたものがに掲載された(雑誌論文4)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

プログラミングについて平成27年度は一応の完成を見た。昨年度取り組んだ語彙力強化のための選択式回答プログラムにおいて昨年度例文と音声を入力したが,入力ミスやバグが見られた箇所について修正をしながら運営を行った。毎回レッスン前に実装可能なレベルまで修正をし,実験を行い,そこで見られたエラーやバグについて最終的な修正を行った。まだ,問題解答に支障のない程度の入力ミスは見られるが,10レッスンをエラーが生じずに運営できることが確認された。英作文における記述入力においても例文や音声の入力がほぼ終了した。これらに関しては,現時点で昨年度の語彙力強化プログラムのレベルに至ったと考えられる。平成27年度までのコンテンツ作成はWebCAIというLMSを使用していたが,昨年度も報告したようにこのシステムが立脚するJava Applet 7.6のサポートが昨年終了した。ランダム出題も,現在のLMSではメモリーの関係上困難であることが判明した。これらに関しては新システムで対応するより他に方法がない。
E-learningにparsing を取り入れる研究に関しては,問題の作成の基本テンプレートについて作成中である。1レッスン20問から成るコンテンツを5レッスン分作成した。しかし,「5文型」を用いて文を分析する際には品詞解析と統語分析の齟齬が生じる問題を克服しなければならない。規範文法に見られるような場当たり的な分析ではなく,合理的な手法を用いて説明や演習をすることができなければ学生は理解できない。他言語において与格として副詞的な扱いを受ける要素が英語において目的語となった過程を私的に解明することでこの矛盾点に説明がつく。英語史において水平化された与格が対格とともに二重目的語とよばれ,さらに対格と区別され「間接目的語」と呼ばれるようになった過程を考察しつつある段階である。前者は論文として発表した。

今後の研究の推進方策

今年度の課題は3点ある。始めに昨年度エラーとバグを修正したコンテンツで学習したグループとe-learning を用いずに学習したグループの対照実験を行った結果の分析である。t‐検定を行い,その内容を分析した結果を8月の国際会議で発表し,そののち論文化する。ここまで推進すれば,科研費に応募した時点で提唱した課題は達成したこととなる。研究は予定より順調に推進されているので,時間と労力に余裕があれば記述式の解答の部分的な正解まで分析したい。
第2の課題以降は今後の研究の礎となるものである。ここまで発展させたプログラムをSCORM対応の汎用性のあるLMSに搭載する方法を模索する。具体的にはこれまで作成したJAVA applet を用いたコンテンツをJAVA スクリプトを用いたLMSに搭載できるかを研究する。本研究により作成されたコンテンツは記述学習を多く含む。現在の形ではSCORM対応で最も普及するMoodle に搭載することは不可能である。JAVAスクリプトによって作成されるプログラムと互換性のあるLMSを作成するのは相当の時間と労力を要する。現在まで開発したコンテンツを同じMoodleの最新バージョンに紐づけできれば,これまでのコンテンツをMoodle上で動かすことができる。このことを実現するためにははIT技術に通じた分担者が必要となる。来年度に新しい分担者と本格的に新研究を推進できるように現時点での問題の分析を進める。
最後に,新システムで文解析のコンテンツをスムーズに掲載できるように統語分析の研究も進める。来年度は史的研究課題として間接目的語と呼ばれたものが「5文型」の中で「第4文型」として編成される過程を研究する。こちらの研究も予定を上回るペースで進んでいる。今年の5月にこれまで実証された補語成立の歴史を10年さかのぼる文法書に補語の記述が見られることを発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究分担者が新しく科研費を取得し、一時的に本研究費に対する依存の割合が少なくなったため。

次年度使用額の使用計画

研究分担者による使用額の範囲内で必要なものを再査定し本研究に直接関係するデータ分析のための資料分類などに必要な物品を購入する。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Developing English Learning Courseware for an e-learning System Named Web CIA2016

    • 著者名/発表者名
      Masashi Kawashima, Hiroyuki Watanabe
    • 雑誌名

      Journal of Japan Society of Directories

      巻: 14 ページ: 60-68

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 「二重目的語構文」と「第4文型」―「5文型」編成における機能と形式の乖離―2016

    • 著者名/発表者名
      川嶋正士
    • 雑誌名

      Expressions

      巻: 14 ページ: 149-168

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 日本大学工学部における英語e-learningコンテンツ開発の学際的試み2015

    • 著者名/発表者名
      川嶋正士,渡邊博之
    • 雑誌名

      日本情報ディレクトリ学会全国大会研究報告予稿集

      巻: 19 ページ: 43-48

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 二重目的語の誕生ー英文法における統語分析の萌芽2015

    • 著者名/発表者名
      川嶋正士
    • 雑誌名

      比較文化研究

      巻: 119 ページ: 69-80

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 「5文型」の起源に見られる科学性と保守性2015

    • 著者名/発表者名
      川嶋正士
    • 雑誌名

      全国英語教育学会熊本研究大会発表予稿集

      巻: 41 ページ: 314-315

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] Text-filling Content Creation for E-learning2016

    • 著者名/発表者名
      Masashi Kawashima, Daisuke Uetake
    • 学会等名
      9th Malaysia International Conference on Languages, Literatures, and CUltures
    • 発表場所
      Penang, Malaysia
    • 年月日
      2016-08-16 – 2016-08-18
    • 国際学会
  • [学会発表] Thomas Kerchever Arnold (1848) が提唱した‘Complement’-「5文型」断章20162016

    • 著者名/発表者名
      川嶋正士
    • 学会等名
      日本英語教育史学会第32回全国大会
    • 発表場所
      東京電機大学
    • 年月日
      2016-05-14 – 2016-05-15
  • [学会発表] 「間接目的語」の誕生―19世紀における帰納法的統語分析の一産物2016

    • 著者名/発表者名
      川嶋正士
    • 学会等名
      国際文化表現学会第12回全国大会
    • 発表場所
      日本大学法学部
    • 年月日
      2016-05-07 – 2016-05-07
  • [学会発表] 学習英文法における逆欠如現象:川嶋正士著『「5文型」論考―Parallel Grammar Series, Part IIの検証』を素材に2015

    • 著者名/発表者名
      川嶋正士
    • 学会等名
      日本英語教育史学会第255回研究例会
    • 発表場所
      東京電気大学
    • 年月日
      2015-11-14 – 2015-11-14
    • 招待講演
  • [学会発表] An Interdisciplinary Collaboration for Constructing E-learning Contents for English Classes.2015

    • 著者名/発表者名
      Masashi Kawashima, Hiroyuki Watanabe
    • 学会等名
      Fisrt International Conference on English and Educational Dynamics
    • 発表場所
      Universitas Hasanuddin , Indonesia
    • 年月日
      2015-09-26 – 2015-09-27
    • 国際学会
  • [学会発表] 日本大学工学部における英語e-learningコンテンツ開発の学際的試み2015

    • 著者名/発表者名
      川嶋正士
    • 学会等名
      日本情報ディレクトリ学会第19回全国大会
    • 発表場所
      大阪体育大学
    • 年月日
      2015-09-05 – 2015-09-06
  • [学会発表] 「5文型」の起源に見られる科学性と保守性2015

    • 著者名/発表者名
      川嶋正士
    • 学会等名
      全国英語教育学会第42回全国大会
    • 発表場所
      熊本学園大学
    • 年月日
      2015-08-22 – 2015-08-23
  • [学会発表] 「5文型」断章2015

    • 著者名/発表者名
      川嶋正士
    • 学会等名
      日本英語教育史学会第31回全国大会
    • 発表場所
      久留米高等工業専門学校
    • 年月日
      2015-05-09 – 2015-05-10

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公開日: 2017-01-06  

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