研究実績の概要 |
研究初年度の平成26年度は、昼寝とWM課題の想起率の関係を大学生を参加者とし行動実験を行った。昼寝が、宣言的記憶強化に有益という先行研究がある(Song et al, 2001; Takahashi and Arito, 2000など)。我々は、宣言的記憶に分類される意味記憶で日本語の単語を昼寝群としない群に分け、想起率に差異があるか否かを実験した。 参加者はA)昼寝群(研究により昼寝の時間が統一しておらず25分程度が多いので25分とした)B)全くしない群C)昼寝はしないが覚える時間を1分間与えた群の3群に分けた。3群全て刺激語(日本語の3シラブルに統一:おとこ、つくえ等LTMに格納されている9語(GA Miller, 1956:magical 7±2に基づく)の単語に関連がない名詞)を聴覚入力(東京の標準語発音)で、A群は昼寝直後入力通りの順番で単語を用紙に書く。B群は昼寝はなく入力直後に用紙に書く。C群は1分間のmemory session 直後に用紙に書くWM課題である。 結果は、A群(32名、平均19.8才)は、昼寝後の想起語数は、9語中平均6.38語であった。前日の平均睡眠時間は、6.7時間で睡眠時間と想起率の相関係数は0.05であった。B群(33名、平均19.5才)は、平均5.31語、平均睡眠時間は、5.56時間で上記同様、相関係数は0.31で弱い相関がみられた。C群(31名、平均20.7才)では、平均7.93語で平均睡眠時間は6時間で、相関係数は0.2であった。昼寝した群がしない群より想起語数が約1語多かった。memory sessionをした群はWMの音韻ループ上での繰り返しで長期記憶化した結果、想起語彙が8語近くと考えられる。
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