研究課題/領域番号 |
26580123
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研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
堀 正広 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (20238778)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 英作文 / 自己診断 / 自己添削 / AntConcの活用 / コーパス / アクティブラーニング / 気づき / 協働学習 |
研究実績の概要 |
これまで英作文の添削は、日本人やネイティブスピーカーの教員によって行われてきた。教員が受講者の英文の添削を行い、受講者に共通した問題点を指摘し、添削された英作文を受講生に返却するという形式で行われてきた。英作文の授業に関しては、アクティブラーニング、つまり「主体的」に学ぶということが困難であった。そのようなこれまでの英作文指導に対して、「主体的な」英作文学習方法の開発が本研究の目的である。英作文の添削において、「主体的に」というのは、自分の英作文を自らが、客観的に分析し、発見と気づきによって自分の英作文を自分自身で添削していくということを意味する。そのためには次の2つのことが必要となる。1つ目は、自分の英作文がネイティブ・スピーカーの英文とどう違っているのかを自己診断すること。2つ目は、どのような点に注目しながら自分の英文を自己添削していくかというチェックポイントを知ることである。本研究はこの2つの点からインターネット上で無償提供されているコンコーダンサーAntConc を使って、英作文の自己診断と自己添削法を構築する。 平成26年度は、『英語教師のためのコーパス活用ガイド』(赤野一郎・堀正広・投野由紀夫編、大修館書店、2014年4月)に研究代表者が執筆した「AntConcを使った英作文の自己診断と自己添削法」の方法論に従って、授業で実践し、その方法論の有用性と問題点を探った。具体的には、現在の方法論で学生が自分の英作文を添削し、その添削過程を記載したレポートを提出させた。さらに、本研究課題を卒業論文のテーマにした学生と共に、この方法論を批判的に論じてもらい、この方法論の問題点を検討した。 本研究が目指す方法論が確立された場合には、日本人やネイティブスピーカーの英語教師にだけ依存する英作文教育は、学習者主体の英作文学習という新たな方向性を英語教育に提示することになろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、現在構築中の「AntConcを使った英作文の自己診断と自己添削法」に基づいた学生による英作文の自己添削を実践し、その有用性と問題点を浮き彫りにすることを目標としてきた。また、卒業論文のテーマに本研究課題の方法論を選んだ学生に本方法を批判的に論じてもらった。この点では、本研究課題は順調に進んでいるが、アンケート調査の方法の検討はまだ十分でない。平成27年度の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
現在構築中の「AntConcを使った英作文の自己診断と自己添削法」の問題点がいくつか明らかになったので、改訂版の方法論で平成27年度は実践する。その成果を平成27年8月29日・30日に鹿児島大学で開催される大学英語教育学会(JACET)の大会で発表し、フロアーからの意見を拝聴する。それに基づいて更に改訂を重ねる。また、海外の学会にも参加する予定である。 平成27年度はJACETの大会での発表の他に、4つの学会でシンポジウムでの発表を行う。そのうち2件は招待発表である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に海外の学会に出張予定だったが、出張先の治安を考慮して出張を中止したため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に中止した海外出張を平成27年度は行う予定である。
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