本研究は、近世都市における町人身分の共同体たり町が明治以降、いかなる変容をこうむったかを検討しました。大阪では、三新法期(1878-1889年)に、町ごとに町会という議会が開設されるのと並行して、町は家屋敷取得規制という近世以来の中核的な機能を失うことが判明しました。また、同時期に町有財産管理者たる町総代人が廃止されるなど、町有財産のあり方にも一定の変化があったこともわかりました。 以上の結果をふまえて、他都市も含めて町の近代化に関して検討すべき一般的な問題領域を整理するとしたら、①土地所有構造、②町有財産、③町共同体の機能、④寄合と議会としての町会、の四点にまとめることができると考えます。
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