研究課題/領域番号 |
26580131
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松井 太 大阪大学, 文学研究科, 准教授 (10333709)
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研究分担者 |
舩田 善之 広島大学, 文学研究科, 准教授 (50404041)
渡辺 健哉 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (60419984)
山本 明志 大阪国際大学, 公私立大学の部局等, 講師 (70710937)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | モンゴル時代 / 人名 / 表記 / モンゴル語 / トルコ語 / アラビア語 / チベット語 / ウイグル文字 |
研究実績の概要 |
西暦13ー14世紀にモンゴル帝国の支配下におかれた中国地域で編纂された漢文資料中には,多数の非漢語の術語(人名・集団名・地名・制度用語など)が確認される。このうち,非漢語の人名について,その原語(モンゴル語,トルコ語,ペルシア語,アラビア語,チベット語など)表記を同時代の諸言語資料の用例に基づきつつ再構成するのが,本研究課題の目的である。 具体的には,モンゴル帝国支配層の中枢ではウイグル文字が主要な文字表記システムとされたという歴史的背景に鑑みて,諸種文献資料(出土文書や碑刻資料など)でウイグル文字表記された人名を重点的に収集しつつ,その漢語音写形式との比較検討に重点を置く。この作業を通じて,個々の漢字に反映されるウイグル文字形式の体系を解明する。その成果は,モンゴル帝国期の中国地域の行政機構において,漢字表記された非漢語術語(人名,地名,官称号など)を原語に再構成し,その歴史的な実態を考察する上での重要な基礎となり得る。 当初,本研究課題は2年の研究期間を設定していた。しかしながら,第2年度に研究代表者が異動して業務が多忙化したため,研究期間を1年延長することとなった。 第3年度は,中国・内モンゴル自治区のカラホト遺跡から出土した漢文・モンゴル文資料にみえる人名を検討し,第1・第2年度に収集したデーターベースを拡充することをめざした。その過程で,モンゴル語・漢語・西夏語表記人名の対応関係について初歩的な分析を完了し,その成果の一部は国際学会で報告した。また,従来,カラホト出土のモンゴル時代ペルシア語・漢語対訳語彙と認識されていたスタイン将来資料について,新疆地域出土の8世紀のテュルク語・漢語対訳資料とみなすべきことを解明した。これは本研究課題の収集データを逆説的に利用した成果である。
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