パプアニューギニアのイーストケープ地方およびセピック川流域における伝統的土器作りの製作者の聞き取り調査を通じて、土器型式の成立と型式の変革に関わる技術的要因と社会的メカニズムについて調査研究した。型式変遷の大きな原動力として、一部の主導的立場にある人の伝統的な世界観が他の製作者にも影響を与えている可能性が浮上した。土器型式は単に技術的側面だけで成立するのではなく、背後に土着信仰を含めて宗教的世界が大きく関わり、地域社会で共有される必要があり、それらの総合的文化・社会的脈絡のうちに成立し、変遷することが推察された。これは未開社会における理論的理解であり縄文式土器型式の研究にも重要な示唆を与える。
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