近年日本では地域社会の消滅が喧伝されているが、島嶼社会ではもはや地域振興が問題になるというレベルにはなく、人々が島に暮らし続けるということ自体が現実的に対処すべき課題として自覚されるところにきている。人々は日々の具体的課題への取り組みを行って自らの生存を確保しようとしつつ、それが地域社会の存続を確保するものになっているかを繰り返し反省している。彼らはそのような取り組みにおいて、そのときの課題に関わる思考やコミュニケーションを駆動する手がかりとなる彼らどうしの 身体的共存・共感という状態や集合的記憶などに対する鋭敏な準備状態にあるのだと考えられた。
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