研究課題/領域番号 |
26580150
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
牛山 美穂 慶應義塾大学, 文学部(三田), 特別研究員(RPD) (30434236)
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研究分担者 |
新ヶ江 章友 大阪市立大学, 大学院創造都市研究科, 准教授 (70516682)
照山 絢子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (10745590)
福井 栄二郎 島根大学, 法文学部, 准教授 (10533284)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 医療人類学 / 文化人類学 / 不確実性 / 医師 |
研究実績の概要 |
本研究は、現代医療が科学的根拠に基づいた「確実性」のある治療指針を示そうとするなか、現場での治療実践で生じる治療の「不確実性」に目を向け、現場の医師がこれにどう対処しているのかを調査するものである。本調査においてはさまざまな不確実性のうち、診断に関わる不確実性、治療に関わる不確実性、患者とのコミュニケーションにおける不確実性という3つの不確実性に焦点を当てる。 本研究では、代表者の牛山、研究分担者の新ヶ江、照山、研究協力者の吉田が共同で、「不確実性」に対する①医師の視点、②患者の視点、③疾患(アトピー性皮膚炎・HIV/AIDS・発達障害・境界性パーソナリティ障害)ごとの違いの3種類をクロスさせた、複眼的な研究を試みている。さらに、昨年度から研究分担者として参加した福井は東日本大震災の際に現場で活躍した医師へのインタビュー調査を通じて、医師の直面した不確実性について分析を行っている。 平成28年度は、7月、10月、1月の3回ミーティングを行い、各自が研究の経過について報告を行った。各自の報告から共通して見えてきた点として、医療の現場ではガイドラインや科学的根拠に基づいた医療(Evidence Based Medicine :EBM)を導入することにより確実性を増そうとする試みが行われているにも関わらず、そうしたものからは零れ落ちる不確実性が常に存在していることがあげられる。そして、医師は、基本的には個々人の技量やアートを用いて、そうした不確実性に対処する必要に迫られていることが明らかになってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各自、平成28年度中に、それぞれが担当する疾患の診察をする医師へのインタビュー調査をだいたい終えることができた。また、予定通り定期的にミーティングを開催しながら、それぞれの調査の結果を報告し合い、分析を進めていく作業を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の後半に、代表者の牛山が出産を予定しているため、出産前後に学会発表への出席やミーティング等の開催が困難になることが予想される。そのため、平成29年度の前半のうちに、学会発表の場で研究成果を共同で発表することを予定している。また、平成29年度後半は、各自研究成果の執筆作業を進めていき、スカイプやメールでやりとりをしながら、ブラッシュアップを進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の牛山は、育児と第二子の妊娠により、平成28年度は医師へのインタビュー調査を当初予定していた5人ではなく1人しか遂行することができず、その分の調査費用やテープ起こし費用が次年度使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
本調査は当初は平成28年度で終了する予定だったが、平成29年度まで延長することとなったため、平成29年度の学会発表やミーティングの旅費として予算を使用する予定である。
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