研究代表者片山隆裕は、タイ国バンコクにおけるメディア広告、看板広告、交通広告に対するイメージおよび特徴について、タイ人大学生10名に対する面接調査を実施した。また、映像メディアにみられる「日本」「日本人」「日本文化」の特徴について、タイ人大学生に対する面接調査を実施した。その結果、日本文化・日本語を学んでいる大学生とそうでない学生との間で、受け止め方に差異がみられることが明らかになった。さらに、その映像メディア自体が、タイ人の観光行動に与える影響が多いことから、映像メディアに付随する広告が当該メディアの内容と関連のある外国や日本の広告である場合、タイ人の消費・購買行動に影響を与える可能性が高いことがわかった。 研究分担者冬野美晴は、タイ人の印象評価からタイにおける外国企業の影響を考察することを目的とし、タイの地場企業・日本企業・韓国企業による化粧品広告について、タイの人々を対象にSD法による主観評価調査を行い分析したところ、日本企業については「好ましい」「安全」「シンプル」「内面的」「自然」「効果的」などへの合致度が他国よりも高いことが分かった。タイ企業の広告については、「オリジナル/非オリジナル」の対比において最もニュートラルな印象を得ていることがわかり、他方、日本企業と韓国企業については同項目でどちらも「オリジナル」への印象が高かったことから、タイ企業の広告には他国からの影響が見られるという印象を抱かれていることが示唆され、メディア広告が果たす文化的影響が示された。
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