研究課題/領域番号 |
26590001
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
小佐井 良太 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (20432841)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 法社会学 / 飲酒運転 / 再犯防止 / 条例 / アルコール問題 / 被害者支援 / 更生支援 / 交通教育 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究課題の2年目として主に以下の研究に取り組み、一定の成果を挙げることができた。 【前期:2015年9月末まで】飲酒運転による重大死亡事件の発生を受けて飲酒運転根絶条例の制定を検討中であった北海道での取り組みに関わり、根絶条例の制定を求める市民有志の依頼を受けて開催された「飲酒運転のない北海道を目指すシンポジウム」にて研究成果に基づく基調報告を行う機会を得た(6月7日)。同報告の準備作業も兼ねる形で、飲酒運転の多発を許している北海道の地域的特性について公表されている各種データを基に分析、従来の根絶施策の効果と課題等について検証を行った。また、飲酒運転を含む危険な暴走運転による死亡事件をとり挙げたNHK「クローズアップ現代」(6月25日放送)に出演する機会を得て、飲酒運転を中心に危険な運転行為の抑止を目的に地域単位で条例等を活用した施策・取り組みを行うことの意義と効果に言及、研究成果について一定の社会還元を行った。 【後期:2015年10月以降】「アルコール健康障害対策基本法」の下で今後進められていく飲酒運転根絶に関する都道府県単位での基本計画に基づく取組みと、根絶条例に基づく施策との関連を中心に検討を行った。とりわけ、同法に先行して根絶条例を制定し地域独自の飲酒運転根絶施策に取り組む福岡県、三重県におけるアルコール専門治療従事者の現場レベルでの取り組みの実情と課題について、10月に神戸で開催された日本アルコール関連問題学会での報告並びに関係文献等の検討を手掛かりに研究を進めた。また、11月に北海道札幌市で開催された「世界道路交通犠牲者の日北海道フォーラム2015」にて「飲酒運転根絶と交通死傷ゼロへの課題」と題して基調講演を行う機会を得て、地域独自の条例に基づく飲酒運転根絶施策の意義と有用性を再検討するとともに、研究成果について一定の社会還元を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示した通り、本研究課題は、2年目の取組みとして一定の成果を収めることができた。とりわけ、テレビ出演やシンポジウム等の機会を得て、研究の内容を着実に進めるとともに、研究成果について一定の社会還元を果たすことができた。しかし他方では、所属研究機関(本務校)での学部改組に絡んだ学内業務が予想以上に極めて大きな負担となったこと、また、本研究課題以外の研究業務並びに社会貢献業務等においても同時並行で進めざるを得ない状況に置かれた結果として多忙を極めたこともあり、主として調査を伴う出張等の面で当初の研究計画を適宜修正しながらの研究遂行を余儀なくされた。この点は、引き続き最終年度となる3年目の年度において、意識して研究計画を進めることにしたい。 以上を踏まえて、トータルな視点から評価すれば、本研究課題はおおむね順調に進展しているものと評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる3年目の本年度においては、1年目・2年目に諸般の止むを得ざる事情で必ずしも十分には進められなかった調査研究(飲酒運転根絶条例制定自治体関係者への聴き取り調査、保護観察所・交通刑務所等における飲酒運転事犯の再発防止に向けた取り組みの実情と課題)を中心に、本研究課題の下での研究成果のまとめを意識して、引き続き研究を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの達成度」の項目中(理由)欄に示した通り、本研究課題2年目となる2015年度は、所属研究機関(本務校)での学部改組業務の予想以上の負担等により、当初予定していた形での出張を伴う研究調査をある程度控える必要があった。このため、主として旅費の執行額が当初の執行予定額を下回ったことによるものである。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度(3年目)となる次年度において、旅費での執行を中心に適切な使用に努める。
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