研究課題/領域番号 |
26590001
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
小佐井 良太 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (20432841)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 法社会学 / 飲酒運転 / 再犯防止 / 条例 / アルコール問題 / 被害者支援 / 更生支援 / 交通教育 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究課題の3年目として主に以下の研究に取り組み、一定の成果を挙げることができた。 【前期:2016年9月末まで】主として、北海道地域、福岡地域での飲酒運転事故の発生状況等に関するデータ分析と、それぞれの地域での飲酒運転根絶施策の効果と課題等について検討を行った。これらの成果を踏まえて、7月に北海道主催「北海道飲酒運転根絶の日決起大会」にて、条例に基づく地域での飲酒運転防止策の意義・重要性等をテーマに基調講演を行う機会を得た。また、NHK福岡放送局制作の報道番組に出演する機会を得て、飲酒運転に関する傾向を分析、根絶に向けてアルコール問題を抱える当事者への支援策や高齢者を対象とした施策が必要であることなどを指摘した。さらに、9月には、沖縄県下の飲酒運転根絶施策の現状と効果等について、県庁、県警、保護観察所でそれぞれ聴き取り調査を行い、とりわけアルコール問題を中心とした根絶施策の重要性について有益な示唆を得た。 【後期:2016年10月以降】10月に札幌地裁にて飲酒運転を背景とした危険運転致死傷事案の裁判傍聴を行った他、小樽市にて地域における飲酒運転根絶施策について講演を行った。11月には、アルコール依存を含む依存症者の治療・回復支援に取り組む団体関係者に聴き取り調査を行い、12月には同団体主催のセミナーに参加して、アルコール問題の当事者・家族に対する支援の必要性と課題等について有益な知見・示唆を得た。また、1月には、飲酒運転死亡事件の被害者遺族への聴き取り調査を行った他、福岡で開催された飲酒運転根絶県民フォーラムでのシンポジウムにコーディネーターとして登壇し、アルコール健康障害対策基本法及び同法の下での基本計画に基づく飲酒運転根絶施策について関係者と意見交換・検討を行い、かつ、研究成果の一定の社会還元を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示した通り、本研究課題は、3年目の取組みとして一定の成果を収めることができた。とりわけ、2年目の昨年度に引き続き、テレビ出演やシンポジウム等の機会を得て、研究の内容を着実に進めるとともに、研究成果について一定の社会還元を果たすことができた。しかし、他方では、昨年度に引き続き、所属研究機関(本務校)での学部改組に絡んだ学内業務により多忙を極め、予想以上に極めて大きな負担となったことから、主として調査を伴う出張等の面で当初の研究計画を適宜修正しながらの研究遂行を余儀なくされた。結果として、研究期間について1年間の延長を申請することとなり、承認を得ることができた。最終年度となる4年目の本年度においては、研究成果のまとめと総括を意識して、補充調査等の着実な遂行に努めることにしたい。 以上を踏まえて、トータルな視点から評価すれば、本研究課題はおおむね順調に進展しているものと評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる4年目の本年度においては、一方で、これまでに諸般の止むを得ざる事情で必ずしも十分には進められなかった調査研究(飲酒運転根絶条例制定自治体関係者への聴き取り調査、交通刑務所における飲酒運転事犯の再発防止に向けた取り組みの実情と課題)を補充的に行う。他方では、アルコール健康障害対策基本法の下でのアルコール問題を背景とした飲酒運転根絶施策に関する取り組みについても、可能な範囲でフォローしつつ、全体的な研究成果のまとめを意識して引き続き研究を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本務校において学部改組が行われたことにより、当初の想定を超えて関係の学内業務等で多忙を極めたことに加え、過労により体調を崩して静養を必要としたことなどもあり、当初の予定通りの調査研究等の出張日程を組むことができず、主としての旅費の支出において未消化分の残額が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
補充の聴き取り調査を計画的に実施することにより、主として旅費の支出に充てる。
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