最終年度は、研究全体のまとめに向けた作業と必要な追加調査を行った。 まず、年度当初の4月に愛媛県内で開催されたAA(アルコホーリクス・アノニマス)グループのミーティングに参加、アルコール依存からの回復を目指す当事者たちの状況に対する理解を深める機会を得た。地域の条例に基づく飲酒運転根絶に向けた施策において重要となるアルコール問題の当事者及びその家族に対する支援のあり方を考える上で貴重な示唆を得ることができた。 6月から7月にかけて、飲酒運転根絶条例を制定した北海道での今後の施策促進を検討するシンポジウムが企画され、コーディネーターを務めた。アルコール治療の専門家や飲酒運転根絶に関する啓発にかかわってきた関係者らとの間で行った準備会合を含め、多分野横断的な専門家・関係者の連携に基づく飲酒運転根絶施策の地道な継続と不断の見直しが必要かつ有効であることを改めて確認する機会を得た。関連して6月末には、旭川地裁で公判が開かれた飲酒運転による死亡事件について危険運転致死傷罪に問われた事案の傍聴も行った。傍聴を通じて、地域における飲酒運転の事前防止を図る上で、アルコール問題を抱える(ないしそのことが疑われる)当事者や家族に対する施策の必要性を確認することができた。 研究成果をまとめる中で、11月末に参加した犯罪被害者週間全国大会(ハートバンド)での飲酒運転死亡事件被害者遺族の講演を聴講する機会を得た。聴講を通じて、条例等による地域単位での飲酒運転根絶施策の拡大・普及を図る必要があることを確認した。
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