研究課題/領域番号 |
26590004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 誠 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00186959)
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研究分担者 |
大江 裕幸 信州大学, 経済学部, 准教授 (60598332)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 行政不服審査制度 / グローバル化 / 連携協約 / 水際規制 |
研究実績の概要 |
1.日本法 グローバル化の行政不服審査制度への影響について調査・分析するための前提として,以下の作業を行った。①一般法である行政不服審査法の改正内容を精査し,その内容と特徴を明らかにした。この成果の一部について,大江裕幸「行政不服審査法・行政手続法の改正をめぐって」法学教室412号(2015年1月号)47-54頁(2014年12月)を公表した。②グローバル化に対して、各主体が連携して、行政不服審査制度を運用するモデルの参考として、地方自治法の連携協約制度の意義と課題を検証し、その成果の一部について、斎藤誠「連携協約制度の導入と自治体の課題」市政63号(2014年12月号)18-20頁を公表するとともに,同制度運用と行政不服審査法改正への対応の今後の課題について、地方自治体現場でのヒアリングを実施した。 2.外国法(1)オーストリア・同国における行政不服審査制度とグローバル化の関係について,関税,知的財産分野の水際規制を中心に、現地でのヒアリングと文献調査により現状の把握に努めた。知的財産分野の水際規制について,2003年のEU規則(Verordnung)を受けたPPG 2004(Produktpirateriegesetz 2004)による規律が行われている。ただし,水際規制の執行を担うのは税関であり,不服申立手続についても関税法の領域で規律されている。この手続について既にグローバル化の影響による国内法の変容現象がみられることを確認した。(2)ドイツ・今後の具体的調査領域の精査に向けて、ドイツにおける行政不服審査制度の動向につき、文献調査により知見を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、グローバル化のもとでの行政不服審査制度の変容をとらえるための、具体的なフィールドの設定に向けて、斎藤・大江の間で綿密な調整を行い、それぞれが基礎固めとなる成果を公表することができた。 さらに、オーストリア法制に関しては、関税・知的財産という具体的分野を素材に、変容のあり方を把握することができた。ドイツ法制についても不服審査制度の意義に関する文献調査を中心に、従来の日本における研究とは異なる評価の視座を得られた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)オーストリアにおける、グローバル化に対応した行政不服審査制度のあり方につき、関税・知的財産分野の分析を継続するとともに、食品関係等他領域での変容の諸相を明らかにする。 (2)ドイツ法制につき、知的財産の水際規制分野をはじめ、グローバル化による変容のあり方の濃淡、対応の諸相を明らかにする。 (3)イギリスにおける行政不服審査制度の実務・理論動向を把握する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者(大江)に交付された物品費につき、当初に購入を予定した書籍のうち、本年度中に調達ができなかったものがあるため、若干の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度も、行政不服審査制度に関する日本法・外国法の文献の精査が研究計画に含まれているので、次年度使用額については、当該文献の精査のため、翌年度分助成金とあわせて使用する。
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