本研究では、グローバル化のもとで、各国の行政不服審査制度がどのような機能・構造の変容をとげつつあるのかを考察し、それを踏まえて、あるべき行政不服審査制度及び理論の構築に向けて、基盤となる知見を獲得した。 第1に、オーストリア法を中心に、分野ごとに、グローバル化の影響に差異があることを実証的に明らかにした。第2に、一般制度を補完・迂回する形でグローバル化の影響が直接に表れる、経済関係諸条約における紛争解決・公衆参加制度に考察を加えた。第3に、今後の制度展開に重要な、条約国内化措置のうち、条約「転換」行為につき、ドイツにおいて第二次大戦後の占領法が、プロトタイプたる性質を持っていたことを検証した。
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