4月には、慶應義塾大学において行われた International Dispute Resolutionに関するシンポジウムにおいて、パネラーとして登壇し、「TPPにおける投資紛争解決条項の危険性」について、報告を行った。そこでは、アジアの実務者との交流を深めることができた。 5月には、ドイツ(ミュンスター・ベルリン)で開催されたアンリ・カピタン協会の世界大会に出席した。そこでの全体テーマは「グローバル化」であり、(1)「法源」、(2)「人」、(3)「投資」、(4)「通信」に焦点を当てて報告と議論が行われた。私は、とくに投資仲裁の問題性を指摘した。なお、それに続いてイタリアのトリノを訪問し、2018年に福岡で行われる国際比較法学会において座長を務める「比較法」(グローバル法と密接不可分に関係するテーマ)に関して、事前の打ち合わせを行った。 9月には、シカゴ大学ロースクールから4名の教授を迎えて、「約款」に関する共同セミナーを行った。法のグローバル化の中心には英米法があることは否定できないので、これまでもっぱら大陸法を学んできた私にとっては、そのイロハを学ぶことがてきたことは貴重な出来事であった。 なお、慶應義塾大学法科大学院においては、2017年4月に開講すべく、今年度は、LLMコースの準備に注力した。それ自体は研究そのものではないが、いわばグローバル法の実践計画であり、いかにしてグローバル法を教えるかについて、考えさせられる一年であった。
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