【課題Ⅰ対応研究=当事者を支援する行為規範として機能する医事法の基本原則の確立】を進めるために、前年度に着任した国立精神・神経医療研究センターの附属病院において臨床倫理委員会の創設にアドバイザとして尽力し、その過程において関係者らと協議し、法的・倫理的観点で臨床現場にとって必要な支援の内容について考察を深めた。具体的には、手続的正義を厳格に求めるレベルと、臨床現場における実行可能性について考察した。その成果については既に脱稿済み(2017年度中に公刊予定)の書籍において発表する予定である。 同じく【課題Ⅰ対応研究】の一環として、医学研究を規律する研究倫理指針に改定がなされた2016年度において、その改定に医学研究の現場及び研究規制の現場(研究倫理審査委員会)が対応できるよう、研究倫理指針の改定に影響を与えた個人情報保護法制の内容に立ち戻った考察を行った。また、この研究活動の一環として、国立精神・神経医療研究センターとならぶナショナルセンターの研究倫理研究者と頻回に意見交換を行い、ナショナルセンターとしての意見を改定指針案のパブリックコメントとして提出することができたことは、【課題Ⅱ対応研究】の成果ともいえる。 【課題Ⅱ対応研究=多様な形態をとる医療的活動への対応】を進め、自由診療で行われる医療ビジネス的な再生医療を規制するために消費者保護法制や医療法の広告規制を活用することの提案に至った。その成果については、各種学会において報告を行い、2017年度に公刊予定の研究書籍の中で発表する予定である。
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