本研究は、『高齢者・障がい者施設の利用者のインターネット・SNSトラブルと利用者施設の対策』をテーマとして、インターネット・SNSをめぐる情報セキュリティ、プライバシー保護を、①高齢者・障がい者施設においてどのように対策を取り、②利用施設の対策、③インターネット・SNSに関する高齢者・障がい者の判断能力別の対応と法的課題の検討を行う。 類型すれば、①高齢者・障がい者という施設利用者と施設運営法人との間で生じる問題、②施設利用者がインターネット・SNSを通じて外部の者とのトラブルが施設運営法人に与える問題、③施設運営法人がインターネット・SNSを通じて外部の者とのトラブルが施設利用者に与える問題等がある。 これら内容を考察するうえで、第1に、インターネット・SNSの法律問題を包括的に検討する。例えば、①利用者・関係者の情報流出、②個人情報取扱業者の責任、③ネットトラブル(ネット掲載の不法行為、名誉棄損、データ通信と高額課金等)と損害回復の方法等がある。第2に、インターネット・SNSに関する高齢者・障がい者の判断能力別の対応と法的課題として、利用者の判断能力の段階毎の対応、家族の協力が得られることの有無、第3に、高齢者・障がい者施設の運営法人のガバナンスおよび役員責任のあり方を、法人類型(一般法人、社会福祉法人、宗教法人等と株式会社との比較)で検討する。 そして、高齢者・障がい者施設の利用者の資産保護・名誉保護をいかに図るのかを提言している。また、民法改正案にも触れ、本件テーマへの影響を考察している。
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